研究課題/領域番号 |
23653260
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研究機関 | 室蘭工業大学 |
研究代表者 |
須藤 秀紹 室蘭工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90352525)
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研究分担者 |
小北 麻記子 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (00389694)
花島 直彦 室蘭工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40261383)
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キーワード | メディア・リテラシー / ロボット教育 |
研究概要 |
本年度の研究計画に従って,ロボットに対する意識や捉え方を効率的に収集するためのシステムを開発した.開発したシステムは,災害時教育やモラル教育の現場で実績のある「クロスロードゲーム」をベースとしたウェブサイト上で参加できる簡単なコミュニケーション・ゲームである.参加者はウェブ・ブラウザやスマートフォンなどの携帯端末を用いて,画面上に表示される設問に「はい」もしくは「いいえ」で答える.表示される設問はロボット・リテラシーにかかわるさまざまなジレンマである.各プレイヤーが回答後,投票結果が開示される.その際,多数派だったプレイヤーが得点する.参加者は他者の立場を推測しつつ自らの立場を明らかにすることになる.ゲームの結果はサーバ上のデータベースに自動的に蓄積される仕組みになっている. また昨年度に引き続き,室蘭工業大学に設置されたロボット工学教育施設「ロボットアリーナ」を活用した児童,生徒向けの公開講座(子供向けメカトロ教室「簡単!電子工作」やロボットスクール2012「サッカーコンテスト編」など)を多数開催してアンケートなどによってデータを蓄積した.電気回路などの工作を行った参加者の多くがロボット工学への興味を示したことから,これらの経験がロボットについて考える機会になっているとが確認できた. また本年度から,人工物と人との境界に対する意識を検証するために,義手のデザインとその印象評価を研究テーマに追加した.本年度は違和感を感じさせない義手の在り方についていくつかの設計案を作成して検証した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の計画は,ロボットリテラシーについての実態調査結果の分析とロボットリテラシー教育教材の試作であった.計画通りロボット工学に関するワークショップの中で実施したアンケート結果を分析して,その傾向を確認することができた.またロボットリテラシー教材として,ウェブベースのコミュニケーションゲームを開発してその動作を確認した.
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今後の研究の推進方策 |
昨年度開発したコミュニケーション・システムを児童,生徒向けワークショップの中で実施して,以下の2点について確認する.(1)システムの有効性:実際に児童・生徒向けのワークショップで提案システムを用いた場合,有効なデータを十分数得ることができるかどうかについて検証を行う.もし十分な結果が得られなかった場合にはユーザインタフェースに改良を加えて再度確認を行う.(2)ワークショップの有効性:データベースに蓄積されたデータを分析して,ワークショップの前後で受講者のロボットに対する認識にどのような変化があったかについて検証する.またワークショップの内容を細かく分析することで,どの要素がその変化を引き起こしたのかについて確認する. 「人工物」としての違和感を感じさせない義手のデザインについても検討を進める.いくつかのプロトタイプを作成して印象評価実験を実施し,デザイン要素とその印象との関係について調べる.これによって,人が「人工物」として認識する特徴を明らかにし,ワークショップ教材に反映させる.
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次年度の研究費の使用計画 |
インターネット上で動作するシステムを運用するため,データベースシステムが利用可能なホスティングサービスを引き続き利用する.またワークショップ運営補助やデータの整理のため謝金を支出する.次年度は最終年度にあたることから,研究成果を発表するための旅費および会議への参加費を予定している.
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