今日、実に多様な領域で質的研究がなされるようになっている.しかしそこで必要とされる質的データの分析には、明示的な手続きを有し、小規模のデータにも適用でき、大学院生等の初学者から経験ある研究者まで活用できる有効な方法がなかった. 本研究では、これらの問題を克服して申請者が 2006 年頃に開発し、その小河発展させることで非常に後半な研究分野で利用されてきているSCAT(Steps for Coding and Theorization)を、1) 利用者からのフィードバックを得ながら発展させ、2) 多様な専門領域に即した具体的活用方を検討し、 3) 同時にその修得過程の分析を行い、4) 各領域での活用例等を含むマニュアルとして開発し、5) この手法を多様な領域の研究者間で共有するためのシステムを開発することを目的としている.2014年度には、それまでの採取データの分析を行うとともに、新たな数回のワークショップを、開催方法の改善を行いながら実施した. そこでは次の記録を採取・作成した.a) ワークショップの音声記録、 b) ワークショップ参加者へのインタビュー記録、c) ワークショップ指導者の発話記録、以上の切ろうは文字化して分析し、SCAT による質的データ分析の理解や習熟の促進要因と阻害要因を抽出した.また、修得の全体的過程を参加者の相互作用に焦点化して分析した.それに基づき、ワークショップ開催のためのマニュアルとワークショップのプログラムを改訂した. 本年度は、アジア環太平洋医学教育学会で英語によるワークショップを開催し、他言語での分析とその指導の有効性を検証した.同時に、英語によるWEBサイトも開設した.なお、本年度もSCATを用いた論文の著者にインタビューを行った.
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