本研究の目的は、タイ人ムスリム留学生を対象に、イスラーム諸国への留学実態について、送り出し国と受入れ国の相互関係を踏まえ明らかにし、イスラーム圏を軸とした新たな留学モデルの構築をはかることにある。 送り出し側のタイ政府は、留学各段階においてムスリム学生支援施策を実施しているが、その背景にはタイ国内での受け皿を作ることを通し、宗教をめぐる国内の紛争解決に資することが期待されている。受入れ国エジプトおよびマレーシアの大学においては、宿舎などの受入れ体制が整備され、留学生支援組織も積極的な活動を行っている。帰国後に役立つアラビア語や英語といった言語教育にも重点が置かれ、これがプル要因となっている。
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