研究課題/領域番号 |
23653264
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
近藤 佐知彦 大阪大学, 国際教育交流センター, 教授 (70335397)
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研究分担者 |
田中 希穂 大阪大学, 学内共同利用施設等, 助教 (40399043)
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キーワード | 留学生宿舎 / QOL |
研究概要 |
大学国際化の諸施策の中で「プログラム」や「カリキュラム」に比べ、留学生宿舎は比較的等閑視されてきた。しかし日本が国際的な高等教育市場で生き残っていくためには宿舎整備の指針が必要である。そこで本研究では大阪大学を中心に複数校の留学生のQuality of Life(以下QOL)の自己評価と入居宿舎タイプとの関連を調査し、留学生宿舎整備の指針を得る。 平成23年度および24年度に関しては、分担者・田中を中心として、QOL測定に関する理論面の構築および、アンケート調査に「落とし込む」ための宿舎のタイプ分けやweb上でのQOL測定の方法などについての検討を行っている。調査のためには放送大学機構が運用するREAS (リアルタイム評価支援システム)が適当であるとの結論に達し、現在は当該システムを使って留学生対象アンケートを準備している。 なお、設置者の側から見ての宿舎設置の指針を設けることを期して、近藤および田中でweb上の調査を行った上で、意欲的な取組をしている大学等への聞き取りを実施している。昨年までの聞き取り対象大学に加え、秋田国際教養大学、岩手大学、関西大学、大阪大学、琉球大学など。宿舎に関してのそれぞれの状況に応じた設置者の意図などもくみ取るためである。住人である留学生の「満足度」だけに片寄る調査では一面的な結果になることが予想される。設置者にも納得できるような「留学目的を達成する宿舎」のための現実的な指針を得て、本研究の成果を社会に還元する必要がある。 また宿舎設置の世界的なトレンドを調査するため、アジア圏の国際教育関係者が集まるAPAIEにお手情報収集をすると共に、代表者・近藤は「留学生教育学会」分担者・田中は「日本教育心理学会」において、それぞれ発表などを行い、また機を捉えて本研究に資する情報を収集している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成23年度に調査した結果などについてのとりまとめ、発表に注力をしており、留学生宿舎の設置状況およびQOL関連調査そのものについては多少手薄になった感がある。これは平成24年度については年度途中で歳出抑制の方針が出たため、それら調査の一部などについて計画の組み立て直しおよび12月期までの多額の執行を見合わせたため。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度の試行アンケートの内容を調整し、留学生を対象として本格的なwebアンケート調査に移行するとともに、内外の注目するべき留学生宿舎施策について、引き続き聞き取りを続ける。なお、旅費等の制約により必ずしもすべての聞き取りが可能というわけではないが、宿舎設置者のwebアンケートによって、真に興味深い取組について情報を収集し、実地の聞き取りはいくつかの取組を精選した上で引き続いて実施する予定である。なお、H25年度の課題としては、本取り組みの発表、社会への周知・還元方法などについて、どのような方策を用いるかについての検討を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
代表者・近藤による聞き取り調査の続行および順次その結果の取り纏めを行うとともに、分担者・田中も適宜聞き取りおよび情報収集を行い、それらのための旅費にあてる。なおQOLに関する理論的構築およびweb等で集められたデータの精査・分析に関しては、田中が引き続き担当し、そのための最新文献等の購入を行う。
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