研究課題/領域番号 |
23653265
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
志水 宏吉 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (40196514)
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研究分担者 |
林嵜 和彦 福岡教育大学, 教育学部, 准教授 (10410531)
鍛治 致 大阪成蹊大学, 経営情報学部, 准教授 (50465655)
ヤマモト ベバリーアン 大阪大学, 人間科学研究科, 准教授 (10432436)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 外国人学校 / 教育戦略 / 多文化教育 |
研究概要 |
本研究の目的は、日本に100校以上存在する「外国人学校」の教育の実態と課題を明らかにし、グローバル化が進展する日本社会におけるその意義と可能性を探究することにある。 外国人学校とは、外国人あるいは外国籍の子どもたちを教育するため、あるいは多様な背景をもつ子どもたちに国際的あるいは民族的な教育を施すために設立されたもので、日本の学校制度上に正規の位置づけをもつものの一部あるが、多くは各種学校あるいは私塾としてのステータスをもつにとどまっている。 2年間の助成期間の第一年度にあたる本年度では、日本に存在する外国人学校のなかから、「インタナショナル・スクール」「中華系学校」「コリア系学校」「ブラジル人学校」の4タイプを対象として設定し、それぞれ数校の協力を得たうえで、第一段階の聞き取り調査を実施することができた。具体的には、学校経営者あるいは管理職を対象に、教育方針・経営状態・カリキュラムの特色・入学者の属性・具体的な進路先に関して1~数回にわたるインタビュー調査を実施した。また可能な場合には、授業見学や行事への参加といった活動にも従事した。 その結果浮かび上がってきたのは、外国人学校の多様化という実態であった。たとえば、かつては「民族教育」を施す機関として見られていた中華系や韓国系の学校でも、グローバル化を見据えて英語教育が重視されるという新たな傾向が見いだされた。また、各タイプの学校に、「ふつう」の日本人が入学する傾向が強まっているという新しいトレンドを発見することもできた。その制度的位置づけは不安定で、経営状態も概してきびしい状態にさらされているが、外国人学校にはさまざまな住民の、多種多様な教育ニーズが反映されているという現状を明らかにすることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
4つのサブグループのそれぞれで、3~6校の対象校において、第一段階の聞き取り調査を実施し、それらの学校の概要を把握することができた。今年度に実施する予定の第二段階の調査(一般教員や保護者対象)を実施する土台をかためることができたという意味で、初年度の計画は順調に遂行されたと判断しうる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、前年度において聞き取り調査を実施した18校において、継続的な第二段階調査を実施することになる。調査は10月までにすべて終了し、それ以降は収集されたデータの整理・分析および知見のまとめに従事する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
おおむね配分される研究費を4等分し、それぞれのサブグループの研究活動にあてる予定である。調査チームが本拠地とする関西圏のみならず、首都圏にある外国人学校がいくつも調査対象となっているが、旅費を有効に活用するため、それらの学校に対する調査は1週間程度のインテンシブな訪問調査にすることを考えている。
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