研究課題/領域番号 |
23653266
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研究機関 | 大阪教育大学 |
研究代表者 |
森田 英嗣 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (50200415)
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研究分担者 |
向井 康比己 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (30110795)
長谷川 ユリ 大阪教育大学, 学内共同利用施設等, 教授 (90273747)
城地 茂 大阪教育大学, 学内共同利用施設等, 教授 (00571283)
赤木 登代 大阪教育大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (20324882)
中山 あおい 大阪教育大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (00343260)
若生 正和 大阪教育大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (40379326)
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キーワード | 留学効果 / 交換留学生 / 留学の動機付け / アメリカ / タイ / 台湾 / ドイツ |
研究概要 |
昨年度は、アメリカ、韓国、ドイツ、台湾の留学生を中心に留学効果に関するインタビュー調査を実施したが、24年度はさらにタイの留学生に対する非構造的インタビュー調査を行った。タイの留学生は帰国後、日本企業に就職する場合や通訳や日本語教師など、日本と関わりのある仕事に従事している割合が高く、職業選択という意味では高い留学効果が見られる。その背後には日系企業が多くあるという就職に有利な環境も考えられるが、このことはタイ人留学生の動機とも関連している。タイ人留学生の場合、日本への留学時には日本の文化(ポップカルチャー)が好きであるというような内発的動機とともに、就職に有利だからという外発的動機が多く語られた点が特徴的である。このように、アメリカ、韓国、ドイツ、台湾に加えてタイでの調査により、地域による相違がより鮮明になった。 また、昨年度はアメリカの協定大学において留学生の受け入れ支援について聞き取りしたが、今年度はドイツの協定大学においても同様の調査を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、大阪教育大学の留学卒業生ネットワークをもとに、協定大学の協力を得て、アメリカ、ヨーロッパ、アジアからの留学生のライフ・ヒストリーの聞き取り調査を行うことで、(1)留学のどのような経験が、学習者にどのように影響を及ぼしているのか、また、人生の選択や設計においてどのような影響を及ぼしているのかを明らかにするとともに、(2)欧米とアジアの留学生ではどのような違いがあるのかを、量的調査と質的調査の両面から相補的に検証するものである。昨年のアメリカ、韓国、ドイツ、台湾出身の留学生に対する留学効果に関するインタビューに引き続き、今年度はタイ人留学生に対する留学効果に関するインタビュー調査を行うことにより、(1)においてはタイの留学生の留学動機と就職への影響の独自性が確認されるとともに、(2)においても、他の地域(アメリカ、韓国、ドイツ、台湾)との相違がより明らかになった点で評価できる。質問紙調査は次年度の課題としたい。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度までは日本で学んだ帰国留学生を主な対象に、インタビュー形式の調査を進めてきた。その録音データは随時文字化し、質的データの充実を図るとともに、それを基にした研究成果の整理・公表を進めてきた。 このように、日本留学の動機や効果に関する質的調査を中心にこれまで進めてきたが、今後の課題は量的調査の推進である。本年度は質問紙を作成して帰国留学生に配布・回収し、これまでの研究成果を量的データにより検証することが目標の一つである。さらに、これまで収集したインタビュー資料の分析を進め、ドイツ、台湾、タイの帰国留学生の留学効果を明らかにしていきたい。 また、本年度は最終年度となるため、これまでの研究を総括し、論文・学会発表の形で公表する。それにより、短期留学(交換留学)の動機や効果に関し、国ごとに相違点が見られるか、明らかにする。また、時代や留学の形態により留学生の意識に差異が見られるのかなどを考察し、留学生交流の意義を広く社会に周知することが本研究の最終的な目標である。
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次年度の研究費の使用計画 |
25年度は、昨年度までのインタビュー調査のテープ起こしや協定校の訪問調査の資料を整理し(謝金等)、また質問紙調査のデータ処理(謝金、PC関連の物品費)を行うととともに、昨年度までのインタビュー調査の内容を総括し、質問紙調査の結果との相関を検証し、学会や論文等で公表する(国内旅費、印刷費)。
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