研究課題
平成25年度は、前年度に引き続き交換留学生へのインタビュー調査及び、交換留学経験のある日本人学生へのインタビュー調査を行った。韓国の交換留学生については、前年度には留学経験と進学との関係について重点をおいた調査を行ったが、今年度は留学と就職との関係に焦点を合わせてインタビューを実施した。その結果、韓国では日本語能力が就職において有利であることから、留学動機においてはRyan and Deci (2000)の理論的枠組みに見られる「外的動機づけ」のなかの「統合的調整」もしくは「同一化的調整」の傾向が見られた。一方、日本人学生においては、語学力が就職に有利であるという「外的動機づけ」はみられず、むしろ「内発的動機づけ」が確認された。就職との関連については、留学を通しての成長過程が就職活動に有利であるという考えが読みとれる。また、フランスの交換留学生については,日本での留学が就職に結びつくことが動機に影響することは確認できず、日本の文化に対する「内発的動機づけ」が見られる。しかしながら、フランス人留学生の出身大学において派遣プログラムについて聞き取り調査したところ、「日本学」専攻の学生をできるだけ多く留学させるため、動機づけの弱い学生や動機づけの曖昧な学生も留学する可能性のあること、また他者からの要求で行動する「外的調整」を動機とする学生もいることが推測される。以上のことから、留学動機においては、送り出し国の就職において有利となる条件や留学プログラムが留学動機に深く関係していることが示唆される。
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大阪教育大学紀要 第IV部門 教育科学
巻: 第62巻 第2号 ページ: 181-191