研究課題/領域番号 |
23653269
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
黒田 則博 広島大学, 教育開発国際協力研究センター, 教授 (80274140)
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キーワード | 留学 / Competency / 能力開発 |
研究概要 |
1.質問票の作成(1):平成23年度には、各種文献を基に留学を通じて身につけるべきだと思われるCompetenciesを抽出するとともに、これらに関し、広島大学の留学生を対象として実際にどれ程重要と評価されているかを調査した。平成24年度にはその結果に基づき、比較的重要とされなかった数項目を削除するとともに、理解しにくいとコメントがあった項目の表現を分かりやすいものにし、調査票を作成した。 2.質問票の作成(2):調査票は、1)対象となる留学生の属性や特性に関する項目(性別、国籍、在籍年数、受給奨学金等)、2)上記のそれぞれのCompetencyが身についた度合いに関する自己評価(0~4で評価)、3)Competenciesの開発に有益であったと思われる学内外での活動に関する評価(0~4で評価)の3グループの質問からなっている。 3.調査の実施:平成24年12月から平成25年1月にかけて、広島大学に1年以上在学している714名の留学生を対象に調査票を配付(原則的対象学生に直接配付)し、288の有効回答を得た(40%)。なお、平成23年度の予備調査で、外務省の「人材育成研究支援無償」など特定の目的を持った留学生と、それほど目的が特定されていない文部科学省の国費留学生などとの間に、各Competencyの重要度評価に大きな違いがみられのなかったので、両グループを対象とすることとしたが、独立変数として奨学金の違いを含めた。 4.調査結果の集計:SPSSを使用して上記の質問項目への回答の単純集計を行うとともに、グループ1)とグループ2)及び3)、並びにグループ2)と3)の変数間のクロス集計も行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
質問票による調査及びその集計が順調に進められている。 なお、身につけるべき個々のCompitencyの重要度の評価について、外務省の「人材育成研究支援無償」などによる特定の目的を持った留学生と、それほど目的が特定されていない文部科学省の国費留学生などの間に、大きな違いがみられのなかったことから、調査の範囲を広げて奨学金に関わりなくすべての(受給していない者も含む)留学生を対象とすることしたが、むしろそのことが研究の広まりと有用性を増すこととなった。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、引き続きクロス表作成等の集計作業を行うとともに、検定等の統計手法を用いて変数間の関係を分析する。また集計・分析された統計の解釈等について、留学生に対してインタビュー調査(広島大学以外の大学を含む)を行い、留学生のCompetencies開発に関するより正確な理解を得るよう努める。 これらを踏まえ、最終報告書(あるいは複数の論文)を作成するととともに、学会等で成果を発表する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度には他大学の留学生の情報が必ずしも十分入手し切れていなかった(そのために若干の研究費が繰越となった)ことから、この点にも十分配慮して以下の計画で進める。 1.データ集計・統計分析作業(謝金):引き続き補完データを収集するとともに、SPSS等の統計ソフト等をを使用しデータの分析を行う。 2.データの理解(旅費):データの解釈等について広島大学のほか、他大学の学生(5大学程度)へのインタビューを行う。 3.成果発表(旅費):学会等(2回程度)で成果発表を行う。 4.関係文献購入(物品費):調査結果の理解を促進するため、引き続き関係の文献を参照する。 5.報告書作成(印刷費):論文として成果を発表するほか、多くの統計データが得られたので、報告書も刊行する。
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