研究課題/領域番号 |
23653275
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研究機関 | 成城大学 |
研究代表者 |
東谷 護 成城大学, 文芸学部, 准教授 (10453656)
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キーワード | 生活綴り方運動 / 恵那の教育 / 作文教育全国協議会 / 労音運動 / ポピュラー音楽 / 民俗音楽 / 民謡調査 / 質的調査 |
研究概要 |
本研究の目的は、岐阜県東濃地区を研究対象地として、異なる領域の文化実践、具体的には「恵那の教育(生活綴方運動)」「映画『青い山脈』ロケ誘致」「労音運動」「全日本フォークジャンボリー」「フィールドフォーク」「恵那山みどりの会」といった文化実践に対して「小学校教員」を補助線として系譜的にとらえなおし、インタビュー調査を含む実証的研究によって、戦後日本の社会・文化的潮流との関係を視野に入れた東濃地域在住の小学校教員と地域住民との関わりを多角的に考察することにある。 本年度は前年度までの研究を継続、発展させた。残念ながら、当初予定していた現地でのインタビュー調査と現地での資料収集が、研究協力者等先方との調整がうまくいかなかったなど、様々な要因に妨げられてしまい、思うように研究調査が捗らなかった。そのため、これまでに収集した資料(現地で収集した現地でしか手に入らないものも含む)の分析を研究の中心に据えることにした。たとえば、東濃地区での教育実践、文化実践にかかわる一次資料、戦後史という文脈のなかで考察を加えている二次文献、等である。これらの一次資料、二次資料の分析によって、研究当初にたてた仮説を実証的に強固なものに出来る見通しをたてることが出来た。 昨年度同様、研究業績の発信という点においては、予定より滞ってしまっているが、現地での資料収集や一次資料の分析に重きをおいた研究であることを考慮すれば、やむを得ないと言えよう。これらの反省点については、次年度で補いたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初予定していた現地で収集した一次資料、並びに二次文献の読解、考察についてはおおむね順調に進んだと言えるだろう。しかしながら、現地でのインタビュー調査と現地での資料収集が、研究協力してくださる現地在住の方の体調不良等による日程調整困難等の様々な要因によって、思うように捗らなかったのは残念であった。この点については、今後、早急に補うことを念頭に、研究計画を立て、実行したい。なお、一次資料、とりわけ現地でしか入手出来ない資料等については、順調に進んでいると言えよう。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに得られた成果を基にして、引き続き、主にインタビュー調査と現地での資料収集とそれらの分析を行う。次年度は最終年度のため、これまでの成果を取りまとめ、本研究の成果を報告書として提示したい。その際に今後の研究課題と理論構築のための仮説と本研究によって得られた基礎資料を報告書に盛り込みたい。なお、報告書は、一般の方にも広く目にとまるよう、いずれ出版社から書籍という形態で刊行できるようにしたいと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
おおむね、これまでと同様の方向である。 物品費については、一次資料を含む図書、資料類の購入にあてる。時代感覚をイメージするために、当時の音源や映像資料を入手する予定である。 旅費については、現地調査に関わる旅費のほか、他地区における文化実践についての現地調査に関わる旅費、似たような研究をしている方との研究に関わる情報提供、議論を行うための旅費、学会の大会、研究会に参加するための旅費、等を予定している。 人件費・謝金については、インタビューにご協力してくださった方からお借りしているものを含む一次資料の整理(主にコピー、スキャニング等によるデジタル化)に関わる人件費、インタビューを行った際の録音の活字おこしにかかわる謝金、等を予定している。 その他については、研究資料の運搬代、郵送料を予定している。
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