本年度は、平成24年度及び平成25年度の研究成果を踏まえ、以下の二つの研究活動を展開した。 第一に、これまでの理論的な研究を基盤として、各人が所属する大学の担当する授業において、サービス・ラーニングの導入を試みた。平成25年度の研究で明らかとなったように、初等社会科教育法や中等社会科教育法のような教職の授業では、サービス・ラーニングの導入は、その理論と方法の紹介や、模擬授業場面での振り返り活動など限定的な取り扱いにならざるをえない。一方、教育実習や大学院生・現職教員を対象としたマイクロティーチングなどの実験授業、さらには、実習を中心とした専門科目などであれば、その導入が十分に可能であることが、各人の取り組みの中で明らかにされた。その取り組みの内容は、学会の発表やメールを中心とした情報交換の中で、3名の研究構成員の間で共有化され、平成26年度の大学授業に活かされることになった。 第二に、国内外の学会における口頭発表、さらには専門学会誌等のおける論文の発表などを通じて、社会科教師教育におけるサービス・ラーニングの活用に関して、積極的に情報発信をした。特に、研究代表者である唐木は、日本社会科教育学会等の日本国内の社会科関連専門学会において、研究分担者である宮崎は米国のサービス・ラーニング関連学会において、そして、もう一人の研究分担者である倉本はカリキュラムに関する国内外の学会において、それぞれ、社会科とサービス・ラーニングの関連についてさまざまな提案を行い、関係者の関心を呼び起こすことに専念した。その結果は、今後日本国内の教師教育の高度化が図られる中で、さまざまな影響を及ぼすことになると期待している。
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