研究課題
本研究の目的は、日本を中心とする東アジアの国・地域(中国、韓国、台湾)が協働して、東アジア共同体意識を高めるための教育実践プログラムの開発に資する知見を獲得することにあった。「東アジア共同体」とは、「経済ブロック統合」という文脈で語られる概念であるが、そのような解釈をこえてさまざまなひと・もの・ことが交流し、新しい文化を創造するような、地域共同体の概念にまで拡大解釈することも可能である。そのような文脈において本研究が課題としたのは教育実践プログラムを開発・実践することを見通して、「言語教育」「歴史教育」「生涯学習」各領域から教育実践プログラムの開発につなげていくこととした。最終年度としての25年度にはそれぞれ以下のような成果を挙げることができた。言語教育領域においてはこれらの国・地域における共通教材としての「論語」に着目した。そして日本の中学生による論語理解に関する作品集と分析のための枠組みを作成し、中国(北京師範大学附属中学校)、台湾(台湾師範大学附属中学校)それぞれとの学習交流を行うための打ち合わせの段階まで進めた。歴史教育領域では国・地域など、国境をこえた歴史の教科書に着目し、韓国の高校選択科目である「東アジア史」の内容分析を行うとともに、近年増加してきている東アジアにおける国境をこえた共通教材に関する研究動向をまとめた。生涯学習領域としては日本と中国における東アジアに関する社会教育講座の実態の解明に務め、地域教育施設(社区学校)で実施されている「東アジア」に関する講座は少数であるものの、自主的に形成されたサロンやそこでの市民の議論を知ることができた。いずれの領域においても中国、韓国、台湾の実情に関して、それらを一定程度明らかにし、それらの成果を日本国内の実践に還元するとともに、共通の教育実践プログラム作成の足場作りに資することができた。
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国語教室
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