昭和戦中期の国語(科)読み方教育には、大きくは二つの思潮がある。第一は形象論的解釈学的読み方教育であり、第二は身体主義的読み方教育であった。形象論的解釈学的読み方教育は、国語教育解釈学として理論化がなされ、児童の思考面で、戦時体制の維持促進に加担した。身体主義的読み方教育は、錬成主義教育として思想化され、素読教育というかたちで具体化された。児童の精神面で、時局への適応が図られた。 国語教育解釈学は、〈国民国家〉と〈国民〉を接続する「仲介装置」であった。国語教育解釈学は、その機能(比喩機能)を逆説的に稼働させた。そうした教育によって〈国民〉は、破滅的行動に移行する対抗感が軽減された。
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