平成23-25年度にかけて、「音楽科教育法の授業における『音楽づくり』の現状と指導プログラム開発」という課題で、初等音楽科教育法の授業における「音楽づくり」への質問紙調査とその分析、指導プログラム開発、さらには現職教員への「音楽づくり」の研修会の開催、指導についての実態調査・研修の実施、新たな「音楽づくり」の授業開発・教員向け研修会などを行ってきた。 滋賀大学教育学部における初等音楽科教育法の授業での学生への質問紙調査や指導プログラム開発から、教員になる前の時間的に余裕のある時期に、若い柔軟な感性に働きかけることで、たとえ1時間程度の指導時間しか取れなくても、やり方によっては十分に音楽づくりのエッセンスを伝えることができることが判明した。具体的には、音楽づくりの指導プログラムを実践した後の学生へのアンケートでは、将来教員になった時に音楽づくりの活動をしてみたいかとの問いに、94.7%の学生が「ぜひやってみたい」「やってみたい」と答えた。 大学での音楽づくりの教育だけでなく、現職教員に向けての音楽づくりの研修の機会も必要であると感じた。現職教員への質問紙調査の結果、内情では音楽づくりに取り組めていない教員もかなりの割合にのぼっており(今回調査した対象では59.5%)、取り組めない最大の理由は時間のなさよりも、指導の内容や手立てがわからないということが明らかになった。音楽づくりの指導についての書籍等も参考になるであろうが、やはりワークショップ形式等の教員研修会で、実践してみて指導の手立てを体験してみることが必要であると考える。 この研究をふまえ、今後も勤務校で音楽づくりの指導プログラムを実践していくとともに、この指導プログラムを学会等で発表し、提案していきたい。
|