研究課題/領域番号 |
23653302
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
太田 佳光 愛媛大学, 教育学部, 教授 (00152158)
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研究分担者 |
白松 賢 愛媛大学, 教育学部, 准教授 (10299331)
久保田 真功 富山大学, 人間発達科学部, 准教授 (00401795)
長谷川 祐介 大分大学, 教育福祉科学部, 講師 (30469324)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 社会的構築主義 / 学校臨床学 / 学級活動 / 話し合い活動 / コンサルテーション / 特別活動 |
研究概要 |
本研究では、(1)社会的構築主義研究における「問題の共有化」と「問題の解決」に関する理論を参考として、学級活動における学級や学校生活における問題解決過程の理論整理・再構築を行う。(2)学校現場(研究協力者)との共同で実践的に研究を行い、量的・質的調査法により、その成果を実証的に明らかにする。(3)これまでに構築した理論をもとに、学級活動のコンサルテーションとモニタリングを行い、その理論の有効性及び課題を明らかにすることを目的としている。 本年度は、(2)の量的調査と質的調査を実施し、さらに(3)のコンサルテーションを実施した。 量的調査の概要は次の通りである。学級生活の充実や向上に関する尺度を開発するために、10月に大分大学において児童対象調査票ワーディング検討会を実施し、質問紙の作成を行った。さらに、学級の変容過程を明らかにするために、12月、2月の時点でA市内の小学校3校で、児童対象の調査を実施した。また、1・2学期にかけて、継続的にB小学校において質的調査を実施した。対象としたクラスは、B小学校4年生のクラスである。これらの調査結果をもとに、2月に大分大学において質的調査と量的調査の結果を統合的に分析し、中間考察及び1年次研究成果報告のための研究打ち合わせを行った。その結果、学級における「問題の共有化」と「問題の解決」にいたるプロセスの一端や、その実行と学級の雰囲気や学級成員のモチベーションとの相関を見出すことが出来た。また、8月に現職教員を対象としたコンサルテーションを実施し、本研究の有効性について検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、社会的構築主義の社会学理論を基盤として小学校における学級活動の実践理論を確立し、学校臨床学的研究を通して、児童の学級・学校生活の充実に与える効果を明らかにすることにある。具体的には、学級活動や朝の会・終わりの会等における「話し合い活動」に着目し、「問題の共有化」と「問題の解決」過程が、学級生活の充実や向上にいかに関与するかを明らかにし、学級活動の実践理論を確立することにある。 本年度は、初年度の研究会計画の内、学校現場(研究協力者)との共同で実践的な研究を行い、量的・質的調査法により、その成果を実証的に明らかにした。またこれまで構築した理論をもとに、学級活動のコンサルテーションを行い、その理論の有効性及び課題を明らかにした。ただ、研究の進展は当初の予定通りであるが、全体の理論的考察と、質的調査と量的調査のさらなる分析が必要である。また、今後、教師への質的・量的調査(インタビューと質問紙調査)を実施し、研究成果の報告を実施する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
質的調査について平成24年度には、まず1年目に実施した質的調査(1年間全体:平成24年1-3月までを含めて)のドキュメント資料を分析する。加えて、前年度とは異なる学級を対象としたフィールドワーク・実践の経験的ドキュメント資料化を行い、話し合い活動における「問題の共有化」と「解決」達成過程を明らかにする。 量的調査については、前年度の開発した尺度を用いた量的調査により、学級の変容を明らかにする。5月、11月、1月の3時点では教員対象調査を、6月、12月、2月の3時点では児童対象調査を実施・分析する。 コンサルテーションとモニタリングについては、8月と12月に、学級活動に関心を有する教員の学習サークル等を対象として、宿泊研修型のコンサルテーションを行う。このコンサルテーションの後、教員対象アンケート調査を行い、その成果を分析する。またコンサルテーション参加者の中から希望した教員の学級をモニタリングし、学級活動の改善の方途を分析し、コンサルテーションの成果を明らかにする。 上記のサブテーマを遂行しながら、2年次には積極的に成果報告を行う。まず、1年目の研究によって蓄積されたドキュメントとデータを分析し、社会的構築主義理論に基づく学級活動の理論化の成果と課題について、日本特別活動学会(8月:愛媛県)で報告する。さらに、2月から3月にかけて、2年目までのすべてのドキュメントとデータ分析を行い、論文化して成果を公表する。
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次年度の研究費の使用計画 |
学級活動の質的・量的調査の推進のために、ドキュメント資料の記録機器及び分析機器を購入するための物品費を計上した。また、インタビューデータ等のドキュメント資料化及びアンケート調査のデータ入力のための謝金を計上した。さらに、資料収集及び研究成果の分析、学会での研究成果の発表のための旅費を計上している。
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