まず、研究目的(1)の有権者教育等の収集整理、外国事例調査を実施した。我が国の場合は、これまで主に社会科系教科で実施されてきた授業実践、さらにはそれらに関する研究論文等を中心に収集した。米国においては研究者より知見を得るとともに、教育制度、内容等が我が国と近い台湾、韓国の大学、学校現場等において実地調査を行った。特に台湾、韓国では、授業参観などで主権者教育の具体的事例を収集するとともに、台湾、韓国の主権者教育も我が国と同じような状況であり、課題もほぼ同じであることを情報交換等の中で確認することができた。 次に、研究目的(2)求められる主権者教育の在り方の検討については、我が国のこれまでの主権者教育の成果と課題である「知識等を身に付けることはできているものの態度や能力の育成はじゅうぶんではない」という状況を踏まえて、シティズンシップ教育や法教育等の新しい研究成果・実践等、さらには(財)明るい選挙推進協議会が各地で実施している実践等を生かすなどして検討した。その結果、これまで行われてきた有権者教育を発展拡充させた新たな主権者教育を構想する必要性があるという結論に至った。これまでの有権者教育の成果を踏まえ、生かすとともに、新たに体験型、参加型、参画型などを積極的に取り入れて主権者教育を推進して行くことが必要であることも確認することができた。 最後に、本研究の最終目的である研究目的(3)主権者教育の内容等の開発については、主権者教育は社会科・公民科のみならず他教科、総合的な学習の時間、特別活動などでも実施可能であり、また実施されるべき必要性があることが確認できた。しかし、本研究では特に高等学校公民科に限定して研究を進め、高等学校公民科「現代社会」及「び政治・経済」において新たに扱うべき内容等の基礎的な研究、情報収集整理等を行った。
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