研究課題/領域番号 |
23653310
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研究機関 | 宮城教育大学 |
研究代表者 |
村上 由則 宮城教育大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (90261643)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 特別支援教育 / 障害理解 / 教材開発 / 病弱教育 / 肢体不自由教育 |
研究概要 |
1.病弱・肢体不自由児童生徒が経験する困難の疑似的体験を可能にする教材開発 本研究の目的は、病弱教育および肢体不自由教育領域を主たる対象として、特別支援教育専攻の学生指導・授業において活用する「障害理解」のための教材開発を行うことである。23年度は、喘息発作時に現れる陥没呼吸についての教材モデルを検討した。喘息に関する映像資料および医療機関等で公開しているWeb情報等を学生に提示し、その仕組みについての理解を促した。その上で、研究者らの作製した教材プロトタイプを提示し、学生にもそのプロトタイプの製作とそれを基盤とした改良モデルの製作を求めた。この過程を通して、「障害理解」にとっての教材作製の有効性を検討した。その結果、ほとんどの学生が呼吸機能や喘息発作について興味関心を深める、発作による呼吸「困難」を理論的に理解するとともに、作製という能動的行為と教材操作による身体感覚を通して推論的・論理的認識が可能となった考えられる。2.教材とそれを活用した指導方法に関する情報集積とライブラリーの構成 23年度は、第1次調査として研究代表者および連携研究者間で、使用する映像資料や教材等の活用について情報集積を行った。その結果、医学関係テキストとともに国立・公立等の医療研究関連機関のWeb情報等、自作映像資料を活用していることが明らかとなった。しかし、困難の体験に関しては、肢体不自由教育における車イス体験、関節可動域制限体験等に限定されおり、病弱教育領域の困難体験による「障害理解」については、体系的な教材の準備は行われていないことが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「1.困難の擬似的体験を可能にする教材開発」に関しては、当初試作モデルの製作段階までの到達を計画していたが、喘息の陥没呼吸モデルについては試作モデルをさらに改良し「改良モデル」の製作にまで進展している。 一方、「2.教材活用に関する情報集積とライブラリーの構成」に関しては、第1次調査として研究者間の情報交流・集積を行い、2次調査に用いる調査項目の作成まで行った。これは当初の予定通りであるが、全国の「心理・生理・病理」および近接領域科目に関わる指導を担当する教員を対象とする調査が十分集計されるに至っていない。 したがって、研究全体の進行状況については、当初計画と照らし合わせるとバラつきがあり、全体としてはおおむね順調に進展していると判断するに至った。
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今後の研究の推進方策 |
「1.困難の擬似的体験を可能にする教材開発」に関しては、対象とする疾患・障害の範囲を拡大し、「インシュリン依存型糖尿病」「血液凝固異常症(血友病)」の自己注射、血糖自己検査等を対象としてモデルを作製する予定である。学生へのアンケート調査を行い、教材を自ら作製することによる「困難」の理解促進について検討を深める。 一方、「2.教材活用に関する情報集積とライブラリーの構成」に関しては、全国の「心理・生理・病理」および近接領域科目に関わる指導を担当する教員を対象とする調査の集計と分析を早い時期に実施する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究費は当初の計画の通り、教材作製に関わる材料・素材の購入及び、研究成果発表の旅費、さらにアンケート調査の郵送費等に充当する予定である。なお、23年度の研究において、教材作製に関わる材料・素材に関して実際に製作に使用した材料等が明らかになり、それらを優先的に購入する方向で検討している。
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