研究課題/領域番号 |
23653310
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研究機関 | 宮城教育大学 |
研究代表者 |
村上 由則 宮城教育大学, 大学院教育学研究科高度教職実践専攻, 教授 (90261643)
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キーワード | 障害理解 / 教材開発 / 病弱教育 / 大学 |
研究概要 |
1.病弱・肢体不自由児童生徒が経験する困難の疑似的体験を可能にする教材開発 本研究の目的は、病弱教育および肢体不自由教育領域を主たる対象として、特別支援教育専攻の学生指導・授業において活用する「障害理解」のための教材開発を行うことである。24年度は、糖尿病および血友病を例にとり、「困難」の体験・体感可能教材について検討した。糖尿病・血友病の自己注射モデルを提示し、その作製・改善とそれを使用した授業経過を分析対象とし「障害理解」にとっての教材作製の有効性を検討した。その結果、ほとんどの学生が自己注射について興味関心を深め、注射時の「困難」を理論的に理解するとともに、作製という能動的行為と教材操作による身体感覚を通して推論的・論理的認識が可能となった考えられる。 2.教材とそれを活用した指導方法に関する情報集積とライブラリーの構成 24年度は、第2次調査として「日本教育大学協会全国特別支援教育研究部門」にある教育大学・学部において開講されている「病弱の心理・生理・病理」等の病弱教育・心理関係の授業について、各大学・学部のWebシラバスを検討した。その結果、病気の概説や病弱児の心理特性を概説するものがほとんどで、病気そのもの、さらに、その治療管理等による困難についての体験を踏まえた「障害理解」は、シラバス上では取り上げられていないことが明らかとなった。ただし、実質的な講義等の内容に関しては、Webシラバス情報のみでは十分とは言えないと考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「1.困難の擬似的体験を可能にする教材開発」に関しては、当初改良モデルの製作段階までの到達を計画していたが、血友病および糖尿病の自己注射、糖尿病の血糖自己測定のための穿刺にかかわるモデルは、試作モデルを改良し「改良モデル」の製作にまで進展している。また、23年度に主として対象とした喘息発作の教材は素材・作製手続き、指導評価のためにアンケート等の活用といった指導体制の大枠が完成している。 一方、「2.教材活用に関する情報集積とライブラリーの構成」に関しては、教材の材料・作製過程・活用場面等の画像・動画から構成するライブラリーシステムのプロトタイプを完成させ、一部の教材を集積した。しかし、第2次調査として全国の教育大学・学部のシラバス情報の集積を行ったが、2次調査としての全国の「心理・生理・病理」および近接領域科目に関わる指導を担当する教員を対象とする調査が不十分である。 したがって、研究全体の進行状況については、当初計画と照らし合わせるとバラつきがあり、全体としてはおおむね順調に進展していると判断するに至った。
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今後の研究の推進方策 |
「1.困難の擬似的体験を可能にする教材開発」に関しては、対象とする疾患・障害の範囲を拡大し、血友病性関節症などの関節障害とその状態での動作時の「痛み」「違和感」など対象としてモデルを作製する予定である。学生へのアンケート調査を行い、教材を自ら作製することによる「困難」の理解促進について検討を深める。 一方、「2.教材活用に関する情報集積とライブラリーの構成」に関しては、全国の「心理・生理・病理」および近接領域科目に関わる指導を担当する教員を対象とする調査の分析を早い時期に実施する予定である。またライブラリー構成のための教材の材料・作製手順、活用方法等にかかわる情報収集と画像・動画等の作製を実施する。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究費は当初の計画の通り、教材作製に関わる材料・素材の購入及び、研究成果発表の旅費、ライブラリー構成等に充当する予定である。
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