研究課題
研究にあたっては、申請者が数年来行ってきている学習支援の対象である約70 名の軽度発達障害の子どもに実験の参加を求めるかたちで行った。同じく申請者の研究室で開発された、視覚探索課題を実験パラダイムとして用い、提示刺激にいくつかの条件を設け、成績を定型発達の子どもと比較することによって、ある場合では発達障害の子どもの方が探索の成績が良いという結果を得ることで、障害の「強み」をあきらかにしようとする研究を行った。具体的には、注意欠陥多動障害および高機能自閉症の子ども20名を対象に、私たちの研究室で開発した「視覚探索課題」の成績を比較することで、上記の仮説の検証を行った。視覚探索課題の実験では、コンピュータの画面に3×3の形で、9枚の写真が提示される。典型的には、そのうちの1枚がヘビの写真(この1枚をターゲットとよぶ)、のこり8枚は花(これらをdistracter とよぶ)で構成されている。あるいは反対に花がターゲット、ヘビがdistracter になったりする。実験の参加者はできるだけはやくターゲットをみつけ、画面の上でそれをタッチすることが求められる。その時の反応時間を計測し、探索能力の指標とした。視覚的探索課題を用いて発達障害児と定型発達児で結果を比較すると、定型発達の場合では大人も子どももおしなべて、1)年齢の増加とともに検出はヘビも花もはやくなるが、その程度は定型発達児の方が顕著である。2)ターゲットはヘビのほうが花より圧倒的に見いだしやすい、つまり検出に要する時間が短くてすむ。3)ヘビがターゲットの場合、色の効果はなく、カラー写真でも白黒でもおなじように検出できる。4)しかし花がターゲットの場合、色があるほうが白黒写真より検出にようする時間は短くてすむ 事実があきらかになっている。
すべて 2014
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Front. Psychol.
巻: 5(2) ページ: 1-8
10.3389/fpsyg.2014.00002