研究課題/領域番号 |
23653319
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
柳原 正文 岡山大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (00032219)
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キーワード | 学習障害 / 診断尺度 / 早期対応 / 尺度妥当性 |
研究概要 |
本研究は、義務教育段階において診断が確立する学習障害(LD)について、早期診断によって適切な対応を進めるための「幼児用LD診断尺度」の開発を目指したものである。平成23年度は予備的尺度の項目分析を行い、29項目から成るチェックリストを試作した。これを受けて平成24年度は、尺度の予測的妥当性の確認を行うために統計的な分析を行うとともに、実践応用を可能にするための社会的妥当性の検討を計画した。 予測的妥当性については、当初医療機関との連携において分析を進める予定であったが、結果的にこの計画を進展させることができなかった。すなわち、医療機関から紹介される幼児は、診断名が学習障害だけでなく、広汎性発達障害や注意欠陥多動性障害などの発達障害を合併しており、学習障害に特異的な状態像をとりだすことが困難であったためである。そこで、某私立幼稚園と連携し、リスク幼児を抽出する作業を行うことにより、その経過を追うことにした。 一方、社会的妥当性については、上記幼稚園の日常の教育活動を継続的に観察し、幼児のつまずきについて分類整理作業を進めた。この作業は現在も継続中であるが、23年度に試作した尺度にはなかった行動を新たに追加する必要があると考えており、尺度の一部改編も予定せざるを得なくなっている。また、研究代表者の所属機関に設置されている発達支援相談室においても、指導的介入によって生じる行動変化について情報を収集してきた。これらの情報は、発達遅滞に伴う行動と、学習障害に特異な行動との分離に活かす予定である。 なお、24年7月にはカナダで開催された国際知的障害学会(IASSID)において、成果の一部を発表するとともに、海外研究者からの情報収集を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初予定していた医療機関との連携が進展しなかったため、計画の一部変更を余儀なくされたためである。
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今後の研究の推進方策 |
幼稚園との連携により、行動的妥当性を備えた尺度とする見通しが保証された。
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次年度の研究費の使用計画 |
主要な使途は、データの収集整理のための人件費である。その他、教材作成のための消耗品購入を予定している。
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