本研究は、義務教育段階において診断が確定する学習障害(LD)を、就学前に発見するための「幼児用LD診断尺度」の開発を目指したものである。尺度を作成するに際しては、幼児教育・保育の現場における利便性を考慮して、検査に基づく情報によるのではなく、幼児の日常行動を診断情報として利用することに努めた。結果として、リスク幼児の類型化などの視点からの示唆が得られた。主に、5歳児を対象とした28項目から成る尺度を構成し、保育関係者に調査を実施したところ、LD症状を4つの行動クラスターに整理でき、特に認知・言語機能が重視されることを明らかにした。
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