研究課題
2年目の24年度には,11月9~10日に東大・情報理工で行われたワークショップ「超平面配置と統計学」と,それに引き続き,11月12~13日に北海道大学大学院理学研究院で開催された勉強会「超平面配置と社会選択」において,情報交換と共同研究が進展した.東京大学大学院情報理工学系研究科でのワークショップには,Simona Settepanella氏(LEM: Laboratory of Economics and ManagementScuola Superiore Sant'Anna, Pisa, Italy), Gennaro Amendola氏(Telematica大学,Italy)がイタリアから参加,日本からは竹村彰通(東京大学・情報理工学系),阿部拓郎(京都大学・工)が参加した.北大・理の勉強会にはイタリアからの2名に加え,寺尾宏明,吉永正彦,陶山大輔(いずれも北海道大学・理)が参加し,活発な議論が行われた.イタリアの2人の研究成果はdecidability(決定可能性)とmanipulability(操縦可能性)とのトレードオフ関係を超平面配置の概念を用いて記述するという興味深いものであり,すでに論文が出版されている.この結果は数学と社会選択との融合領域におけるmajorな成果のひとつであるといえよう.上記ふたつの研究集会で情報を共有,かつ,数学的論点と課題が明らかになったことで次年度以降への進展に期待が持てる.
2: おおむね順調に進展している
当初の計画ではアローの不可能性定理のように超平面配置の理論と相性の良い社会科学理論を数学的に取り扱うことを目指しており,ほぼ目標通りに進展している.24年度はイタリア人の2人の研究者の社会選択に関する数学モデルを本格的に学ぶ機会を持ち,25年度での具体的成果につながる年となったと位置付け,(2)と評価した.
研究計画の2年目の24年度は,国際共同研究者のSimona Settepanella氏とGennaro Amendola氏に研究代表者,阿部拓郎,吉永正彦,竹村彰通などの日本の有力研究者を加えた国際チームが生まれた年であった.今後は取り組むべき課題も選定されたので,25年度は,より一層緊密な接触を深め,挑戦する.
最終年度の25年度には,イタリア,あるいは日本で上記の国際チームの研究打合せを行いたい.25年度の助成金の額は100万円なので,上記の打合せでほぼ使い切る予定である.
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (7件) (うち招待講演 7件) 図書 (1件) 備考 (1件)
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