3次体の密度定理の誤差項については,谷口--Thorne により,5/6 乗のオーダーの誤差項を持つことが証明された. 谷口や Thorne との討論により,同様の研究の4次体の場合について考えた. 局所軌道積分の一様評価については達成済みである. しかし,inclusion-exclusion の原理で評価をするために,ガウス和のようなものを考え,それを評価するということが必要であることが明らかになった. また,この場合の大域ゼータ関数の極は決定済みだが,その一番右での極は4つの項よりなる. これらを取り除いて4次体に関係した部分だけを取り出せればよいのだが,これはゼータ関数による方法では難しいというのが現状である. そこで4つの極に関して,極での主要部に係数にあたる不変汎関数を局所軌道積分の定数倍として表し,その定数を求めるということが必要になると思われる. 当初はこれを行ったとしても,2次体の対に対応する部分をどうするかということに関する方針が未定だったが,結局この部分は無視できるのではないかと思われる. こういったことについていろいろ考えたが,非常に大きい計算を伴うことでもあり,まだ結果を出すには至っていない. しかし,方針ははっきりしたので,これからの進展が期待できる. また,Goldfeld--Hoffsteinの結果が既にあるが,2次体の類数の場合の密度定理の誤差項をゼータ関数の方法で証明できないかどうかも考察した. これもまだ結果を出すには至っていない.
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