研究課題
代数曲面のネロン・セヴェリ格子において,与えられた曲線の既約成分のクラスが生成する部分格子を決定すること,あるいは与えられた部分格子を生成する曲線を見つけること,は,開代数曲面の位相的性質を調べる上で重要であるのみならず,Brauer群を通じてその代数曲面の数論的性質を調べる上でも重要である.したがって格子の計算を高速で行う計算機プログラムはきわめて有用である.格子に関するいくつかのアルゴリズムをC言語のライブラリgmpを用いて書き直した結果,格子に関する種々の計算,特に正定値格子のグラム行列が与えられたときに指定されたノルムをもつベクトルのリストを計算するスピードを圧倒的に向上させることができた.また,有限体に係数をもつ多項式の計算をおこなうC言語のライブラリを作成した.その結果,金銅誠之氏との共同研究において,すなわち標数3におけるFermat 4 次曲面の自己同型群を完全に決定することに成功した.(論文掲載決定済み).また,Artin不変量が1の超特異K3曲面とArtin不変量が10の超特異K3曲面のネロン・セヴェリ格子の双対性を用いて,Artin不変量が10の超特異K3曲面についていくつかの興味深い幾何学的結果を得た.(論文投稿中).このプログラム群と線形計画法を用いて,双曲格子の直交群の生成元を求めるBorcherds-Kondoの方法を一般化し,機械的な計算にすることができる.さらにTorelliの定理を用いることで,いくつかのK3曲面の自己同型群を計算機により求めることもできる.実際に,Picard数の小さな多数の複素K3曲面およびいくつかの特異K3曲面に適用し,その有効性を確かめた.(論文執筆中)
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