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2011 年度 実施状況報告書

実二次体上の「クロネッカーの青春の夢」をj-関数に託して

研究課題

研究課題/領域番号 23654013
研究機関九州大学

研究代表者

金子 昌信  九州大学, 数理(科)学研究科(研究院), 教授 (70202017)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード楕円モジュラー関数 / マルコフ二次無理数
研究概要

研究の目的としてあげた,「楕円モジュラーj-関数の実二次点での振る舞いについて,現在実験的にのみ観察されている現象を理論的裏付けを与えることで理解すること,ひいてはそれを通し,虚二次体上の類体構成に関するいわゆる「クロネッカーの青春の夢」の実二次体版になにがしかの貢献をすること」の達成に向け,まずはさしあたりマルコフ二次無理数の場合をよく観察し,何らかの代数的量を取り出すことが出来ないかを考察したが,多くの数値実験でも望ましい結果の兆候も見いだすことは出来なかった. しかしながら,その考察の過程で,マルコフ数のファレイ分数によるパラメトリゼーションを用いて,マルコフ数のある種の新しい合同関係を証明することは出来た. これについてはアメリカ数学会の特別セッションにて口頭発表を行った.このことのみで論文とするには内容が不足していると思われるので,論文発表は更なる成果を得た後となる. 海外連携研究者の Don Zagier 氏とはイギリス及びドイツで会う機会を得て,今後の研究の進め方について議論を行った.また,関連する話題として,有理数体上定義された楕円曲線をモジュラー関数でパラメトライズすることに関し,重さ4のアイゼンシュタイン級数の満たす微分方程式を元に楕円曲線を取り出し,それに付随する newform がエータ積で書けるような楕円曲線のすべてをこの方法で得ることが出来ることを,境優一と共に示した.これは論文にまとめて現在投稿中である.古典的なヤコビのテータ関数の関係式をレベル5や7の場合に考察し新しい知見を得ようとする鍬田政人との研究も緒についた.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

数値実験は多く行ったものの理論的な面での進展が,とくにj-関数の実二次点での値そのものに関する進展が見られていない. マルコフ数に関する合同関係についての結果は新しいものであると思われるものの,際だった応用が得られていないのでまだインパクトに欠ける.目的とはやや違った方向での進展は今後の発展の方向如何では本来の研究目的にとって有益なものになり得る可能性もあり,これは明るい材料ではある.

今後の研究の推進方策

ドイツマックスプランク研究所の Don Zagier 教授とは引き続き議論を重ね,彼の以前の手法を一般化することで新しい知見をめざす.マルコフ数や連分数については徳島大の片山真一と議論をする.Duke 教授または Imamoglu 教授と会う機会を持ち,彼らの最近の結果(j-関数のサイクル積分と弱正則マース形式との非常に興味深い関係)について詳細に議論し,そこから数論的な何かが取り出せないかを探る.j-関数以外のモジュラー関数についての実験をはじめ,データを蓄積する.

次年度の研究費の使用計画

Zagier 教授をはじめ,関連する研究者の招聘およびこちらからの出張旅費に約60万円,関連文献や計算機関連消耗品の購入に約10万円を支出予定.

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2012 その他

すべて 学会発表 (1件) 備考 (2件)

  • [学会発表] Congruences of Markoff numbers via Farey parametrization2012

    • 著者名/発表者名
      Masanobu Kaneko
    • 学会等名
      Special Session of the AMS 2012 Spring Western Section Meeting(招待講演)
    • 発表場所
      University of Hawaii at Manoa, USA
    • 年月日
      2012年3月4日
  • [備考]

    • URL

      http://www2.math.kyushu-u.ac.jp/~mkaneko/thesis.html

  • [備考]

    • URL

      http://www2.math.kyushu-u.ac.jp/~mkaneko/lecture.html

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公開日: 2013-07-10  

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