研究課題
研究の目的として「楕円モジュラーj-関数の実二次点での振る舞いについて,現在実験的にのみ観察されている現象を理論的裏付けを与えることで理解すること,ひいてはそれを通し,虚二次体上の類体構成に関するいわゆる「クロネッカーの青春の夢」の実二次体版になにがしかの貢献をすること」をあげていたが,最終的な目的達成には至らず,むしろ非常に難しい問題であることを再認識させられた.しかしながら,研究の過程で,マルコフ数のファレイ分数によるパラメトリゼーションを用いてマルコフ数のある種の新しい合同関係式を証明することが出来たほか,実二次数の caliber について,広義,狭義ともに,その偶奇を完全に決定できたことは一つの達成である.j-関数の実二次点での値については期間中に国際研究集会で発表の機会があり,そこでは問題提起として2変数のj-関数の可能性,また解析関数を離れ,SL(2,R)上の関数として現象を理解できる可能性などに言及した.これらはいずれも今後の興味深い研究方向を示していると思われる.また広くモジュラー関数との関係では,有理数体上定義された楕円曲線をモジュラー関数でパラメトライズすることに関し,重さ4のアイゼンシュタイン級数の満たす微分方程式を元に楕円曲線を取り出し,それに付随する newform がエータ積で書けるような楕円曲線のすべてをこの方法で得ることが出来ることを境優一と共に示したことや,ある有理型モジュラー形式のフーリエ級数の合同関係式を本多雄太朗と共に導いたことなどを論文として公表した.
すべて 2013 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件) 備考 (3件)
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