研究課題/領域番号 |
23654018
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
秋田 利之 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (30279252)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | コサイクル / 有限群 / 特性類 / 線型表現 / 写像類群 |
研究概要 |
本研究では、有限次元線型表現の特性類、多様体束の特性類、有限群のコホモロジーにおけるtransfer(移送写像)といった位相幾何的な手法を用いることによって、有限群の高次のコサイクルを組織的に構成する方法を確立することを目的としている。 本年度の研究は「乗法的transferとコサイクル表示」および「河澄-植村公式」の2つのテーマに分かれる。以下テーマごとに詳しく述べる。(1) 指数2の部分群の1次元複素表現ρに対し、その誘導表現τは2次元の複素表現となる。本年度はτの1次および2次Chern類のコサイクルを、ρの1次Chern類のコサイクルを用いて記述することを試みた。結果としてτの1次Chern類に関しては簡明な表示を得ることができた。2次Chern類に関しても一つの表示を構成することができたが、得られた表示は複雑で汎用性に欠き改良の余地があると思われる。(2) 河澄-植村公式は写像類群の有限部分群Gに対し、GのMumford-Morita-Miller類(以下MMM類と略す)をGの分岐データ(ramification data)で記述する公式である。本年度は河澄-植村公式とtransferを用いてGの1次MMM類のコサイクル表示を構成したが、表示は巡回部分群の剰余類の代表元の選び方に依存しているという点で決定的なものではない。また1次MMM類のコサイクル表示としてMeyerによる符号数コサイクルによるものが知られているが、本研究で得られたコサイクル表示との関係は今後の研究課題である。なお(2)で得られた成果の一部は国際研究集会で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
特別な場合に線型表現のChern類および写像類群の有限部分群のMumford-Morita-Miller類のコサイクル表示を得ることができたという点で初年度の研究計画の目標を達成できた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は高次のChern類およびMumford-Morita-Miller類のコサイクル表示の構成を試みると同時に (1) 線型表現のコサイクル表示と多重対数函数との関係 (2) Mumford-Morita-Miller類のコサイクル表示と(通常および高次の)Dedekind和との関係といった数論との関係にも焦点を当てて研究を推進したい。
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次年度の研究費の使用計画 |
当年度は震災の影響により連携研究者との研究打合せが予定回数よりも少なくなったこと、および年度内に予定していたベトナム出張が年度を跨ることになり次年度の研究費での出張となったことにより次年度に使用する研究費が生じた。次年度はストラスーブル大学における研究連絡および国内における研究連絡に旅費を使用し、また計算機設備の増強に物品費を使用することを予定している。
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