研究課題/領域番号 |
23654018
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
秋田 利之 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (30279252)
|
キーワード | コサイクル / 有限群 / 線型表現 / 特性類 / 写像類群 / Coxeter群 |
研究概要 |
本研究では、有限群の線型表現に同伴する有限群の分類空間上のベクトルの特性類、多様体をファイバーとするファイバー束の特性類、有限群のコホモロジーにおけるトランスファーといった位相幾何的な手法を用いることによって、有限群の高次のコサイクルを構成することを目的としている。本年度の主な研究実績は「曲面をファイバーとするファイバー束(曲面束)の特性類」と「Coxeter群のp局所的なホモロジー」の二つのテーマに分かれる。以下テーマごとに詳しく述べる。 (1) 代表者はこれまでの研究において、Riemann面の分岐被覆の理論を援用して、写像類群の有限部分群の“同値類”全体を表現論的に扱う枠組みを構築しつつある。この枠組みは特性類の研究への応用を念頭においているが、分岐被覆の研究にも役立つと期待している。本年度はこの枠組みを整理し、複数の研究集会(研究集会「リーマン面に関連する位相幾何学」とBranched Coverings, Degenerations, and Related Topics 2013)で講演した。この枠組みをコサイクルの構成に応用することは次年度の課題である. (2) Coxeter群は離散群の中で重要なクラスであるが、そのホモロジーは1次と2次しか解明されていなかった。本研究では一般のCoxeter群に対し3次のp局所的なホモロジー(ただしpは奇素数)が消滅するための十分条件を与え、また非自明なホモロジー類は常に二面体部分群のホモロジー類の像であることを示した.この結果を用いてCoxeter群の「幾何的表現」の特性類を調べることが今後の課題である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コサイクルの構成自体には至ってないものの、写像類群の有限部分群を表現論的に扱う枠組み、Coxeter群の3次ホモロジーに関する結果は、いずれも本研究の目的であるコサイクルの構成につながるものであり、おおむね順調に推移している。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は高次のChern類およびMumford-Morita-Miller類のコサイクル表示の構成を試みると同時に (1) 線型表現のコサイクル表示と多重対数函数との関係 (2) Mumford-Morita-Miller類のコサイクル表示と(通常および高次の)Dedekind和との関係といった整数論との関係にも焦点を当てて研究を推進したい。
|
次年度の研究費の使用計画 |
次年度は主に国内における研究連絡に旅費を使用することを計画している。
|