研究実績の概要 |
代数的極小曲面のガウス写像の除外値問題に取り組んできた.基本領域における代数的議論によりある不変量を発見し,これを用いることによりOssermanの従来の結果に加え,未知の全分岐値数の評価を得て,本研究課題へのきっかけとなる主要論文 Y. Kawakami,R. Kobayashi and R. Miyaoka, The Gauss map of pseudo-algebraic minimal surfaces, Forum Mathematicum 20 (2008), 1055-1069. を発表している.ここでは基本領域の面積をガウス写像の引き戻しによる特異Fubini-Stud計量で測ったものA(FS)と,双曲計量で測ったオイラー数の絶対値で与えられるものA(hyp)との比 R が重要な役割をはたしている.全分岐値数という除外値数よりも精密な数 ν は上から 2+2/R で抑えられ,かつ周期条件から R>1 がわかるので,結局 ν<4を得て,代数的極小曲面のガウス写像の除外値数が3以下であること,さらに全分岐値数が4より小さい数で抑えられることがわかった.また,宮岡-佐藤曲面で,ν=2.5を与えるものが存在するので,全分岐値数は整数になるとは限らず,従って除外値数の評価とは異なる評価が必要なことが新たにわかっている. 以上のことをふまえ,極小曲面個別の評価でなく,種数や穴の数によらない評価を与えるため,現在すべてのデータを普遍被覆面上の考察に拡張することによる,除外知数の最終評価を目指している.
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