研究課題/領域番号 |
23654027
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
鎌田 聖一 広島大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (60254380)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | トポロジー / カンドル / 結び目 / バイカンドル |
研究概要 |
カンドルの3つの公理は結び目ダイアグラムの3つの基本変形(ライデマイスター変形)に対応している。仮想結び目は、結び目のダイアグラムに仮想交点という新たな情報を持つ交差を許したもので、カンドルやその一般化であるバイカンドルを研究する上でとても重要な対象である。当研究では、バイカンドルの定義の見直しを行い、結び目及び仮想結び目の交差に対応する幾何的により自然な形の公理を導き出すことに成功した。これまでバイカンドルを定義する方法はいくつか知られているが、それらの間の関係を明瞭に示した文献はあまりなく、今回それに関係する補題をいくつか構成したので、今後のバイカンドルの研究において定義の確認などに利用が見込まれる。我々の定義(公理)は、バイカンドル上に新たな構造を導入する際にも利用しやすい。また、仮想結び目の仮想交点に対応するバイカンドル上の構造(V構造)とねじれ仮想結び目のバーに対応する構造(T構造)を導入した。仮想結び目が向き付け可能な曲面の上で展開される結び目理論であるのに対して、ねじれ仮想結び目は、向き付け不可能な曲面も許した一般の曲面における結び目理論である。(曲面の裏返しを表す記号がバーである。)ねじれ仮想結び目の基本変形をうまく選び出すことによって、V構造を伴ったバイカンドルの上に構成された高次の構造がT構造である。さらに、カンドルからバイカンドルを構成する方法を発見し、その特別なケースとして簡単で効率的にバイカンドルを構成する「標準積構成法」が得られた。この方法は(ある都合のいい写像を選ぶと)V構造とT構造も同時に生成ができる。 2011年9月6日~7日に那覇市伝統工芸館で「2011琉球結び目セミナー」を開催した。仮想結び目のバイカンドルをはじめとするカンドルの一般化や関連話題の情報交換を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
バイカンドルの定義の再検討に関しては、仮想結び目やねじれ仮想結び目に対応する高次の構造やバイカンドルの構成方法が得られる等、十分な成果が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
引続き連携研究者や関連分野の研究者と情報交換を活発に行うことで研究を推進していく。具体的な内容としては、有限バイカンドルの構成と分類、それを用いた結び目理論への応用、対称カンドルの表示の研究などを行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
連携研究者や関連分野の研究者との情報交換および成果発表を行うための旅費、図書費、消耗品などに使用する。
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