研究課題
本研究の目的は,写像空間の滑層分割のトポロジー・組合せ論の一般論を展開し,今まで定式化できていなかった,写像や多様体に対する高次のVassiliev型不変量や,一般次元の多様体の有限型不変量を,新たな観点から定式化することであった.さらに,曲面の可視化や映像理論等への具体的応用に向けた足がかりを築くことも目的の1つであった.そのため平成24,25年度はVassiliev複体とスペクトル系列の手法に基づき,Vassiliev型不変量の定式化に関する検討を進めた.具体的には,様々な特異点や特異ファイバーの分類毎にVassiliev複体を考え,研究分担者である大本亨,山本卓宏の協力のもと,次数1不変量の研究を進めた.さらに国内外の研究者との交流・連携を進めた.具体的には,山本稔と球面の裏返しの特異点論的表現法について映像理論との関連も含めて議論を行い,一定の成果を収めた.またブラジルのHiratukaとの共同研究で,一般的な写像のReeb複体が三角形分割可能であることを示し,その応用としていくつかのオイラー標数公式を得た.平成24年度にBlanloeilをはじめ海外の研究者と多く議論し,その後の研究の方向性も探ることができた.また,多様体上の多様体束を考え,その上の可微分写像の特異点を用いて,多様体束の特性類の定式化を目指すため,特異ファイバーの研究も進めた.さらに平成25年度には境界付き3次元多様体から平面への安定写像の特異ファイバーの分類を山本卓宏の協力のもと進め,完全な分類を得ることに成功した.またその応用として特異ファイバーに対するVassiliev型複体のコホモロジー群を計算し,ある種の同境不変量を発見した.さらにこうした特異ファイバーの研究を多値関数のデータ可視化へ応用し,データに内在する微分位相幾何的特徴抽出に使えることを明らかにできたことは大きな成果の一つである.
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http://imi.kyushu-u.ac.jp/~saeki/index-j.html