研究課題/領域番号 |
23654030
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山本 昌宏 東京大学, 数理(科)学研究科(研究院), 教授 (50182647)
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研究分担者 |
羽田野 祐子 筑波大学, システム情報工学研究科(系), 准教授 (60323276)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 非整数階微分方程式 |
研究概要 |
環境研究には政策など社会との強い関りを持つ面もあるが、それらの整備を合理的に支えるためにも定量的な数理的研究の推進が強く求められている。本研究では、以下の環境問題に関連した不均質媒質の拡散現象の数学・工学・産業を横断した数学協働研究体制を目指している:(1) 土壌などの環境問題に代表される大規模系を取り扱うために連続時間ランダムウォークモデルなどのミクロレベルでの確率論的手法とマクロレベルでの非整数階の偏微分方程式論を総合したモデルの構築。平成23年度にフラクタルモデルなど可能な複数のモデルのサーベイを行い、時間空間方向に複数の非整数階の微分の項を含む方程式をモデルとすることにした。(2) そのような非整数階の偏微分方程式の解の一意存在や漸近挙動、および非整数階の非線形システムが与える力学系などの研究を開始した。(3)前段階で確立された非整数階偏微分方程式論に基づいて汚染源決定などの環境問題における「逆問題手法」の開発。さらに、数学解析の結果を実験と比較するために、工学・数学の連携による共同研究を行い、特にラボ実験の結果の解析・整理を行った。欧米では非整数階拡散方程式の物理的研究は多くあるものの偏微分方程式論的な研究は極めて少なく、この分野でイニシャチブを得るために物理的な観点での研究者との連携を密に保つためことが重要であり、専門的知見の提供を仰いだ。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
最大の課題の1つであるモデル式の確立に概ね成功したことから。
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今後の研究の推進方策 |
(1)モデル式である時間と空間方向に複数の非整数階の微分の項を含む微分方程式の解の一意存在などの理論の完成(2)ラボ実験でのデータとの照合とモデル式の修正(3)関連する逆問題の数学解析
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次年度の研究費の使用計画 |
ラボ実験をもとにした議論が一層重要になるので研究打ち合わせ旅費を計上した。該当分野の数学解析の研究は世界的にみて極めて数少ないが、物理的な研究成果は欧米では充実している。本研究計画で挙げる成果を国際基準で評価するために欧米の専門家を1週間程度招聘するための招聘旅費を計上した。研究代表者または分担者が1回7日程度、ヨーロッパに出張する。物理・工学分野の関連する広範知見の収集のために専門的知識の提供をうけるための講演謝金を形上した。研究課題に関する、物理などの関連分野における文献などは数多い。それらの知見を学習するための図書購入費も計上してある。
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