研究課題/領域番号 |
23654031
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
神保 雅一 名古屋大学, 情報科学研究科, 教授 (50103049)
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研究分担者 |
澤 正憲 名古屋大学, 情報科学研究科, 助教 (50508182)
間瀬 茂 東京工業大学, 情報理工学(系)研究科, 教授 (70108190)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 球面デザイン / ユークリディアンデザイン / 最適性 |
研究概要 |
本年度は、球面デザインあるいはユークリディアンデザインの統計的最適性に注目し、非積分多項式が2次以下のときに、2つ以下の同心球面の場合にΦp-最適となる球面デザインの満たすべき点配置について新たな結果を得た。Φp-最適性はA-最適、D-最適、E-最適などを含むより一般的な最適性である。統計的実験計画の分野で、これまでにrotatable designの分野でこのような研究がなされてきたが、主に、計算機を用いて、最適性あるいは有効性を議論している。また、Bannai, Bannai(2006)は、D-最適性についての結果を得ているが、D-最適性の場合には、最適配置は同心球面の半径の比に依存しないことが分かっている。我々は、A-、E-最適性にも注目して、半径比と最適配置の場合の各球面上の点の数、および最適な点配置を明らかにした。本研究成果は、2012年7月に開催されるims-APRMで発表予定である。 また、量子ジャンプ符号に用いられるmutually orthogonal t-designs(t-MOD)という複素数上の新たな組合せデザインを提案し、与えられたパラメータのもとでデザイン数が最大という意味で最適なt-MODは、複素球面上の配置のクーロン力によるf-エネルギーを最小化する組合せ構造と関係があると思われる結果を得た。 一方で、球面上のf-最適性と統計的Φp-最適性との双対関係については、明らかにするに至らなかった。これは今後、継続して取り組むべき課題である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、当初の計画のうち、ユークリディアンデザインの統計的最適性に注目し、非積分多項式が2次以下のときに、2つ以下の同心球面の場合にΦp-最適となる球面デザインの満たすべき点配置について、A-、E-最適性にも注目して、半径比と最適配置の場合の各球面上の点の数、および最適な点配置を明らかにした。本研究成果は、2012年7月に開催されるims-APRMで発表予定である。 また、研究開始当初は想定していなかったが、量子ジャンプ符号に用いられるmutually orthogonal t-designs(t-MOD)という複素数上の組合せデザインについて、与えられたパラメータのもとでデザイン数が最大という意味で最適なt-MODは、複素球面上の配置のクーロン力によるf-エネルギーを最小化する組合せ構造と関係があると思われる結果を得た。この成果は、今後、より詳細に吟味し、その関係を明らかにすることにより新たな展開が期待できる。 一方で、球面上のf-最適性と統計的Φp-最適性との双対関係については、明らかにするに至らなかった。これは今後、継続して取り組むべき課題である。
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今後の研究の推進方策 |
本年度得られた新たな研究の方向性も加えて下記のような研究を遂行して行きたい。(1)m変数、n次多項式の場合に、多重同心球面上でのφp-最適な点配置に関するより一般的な結果を得たい。具体的には、3次多項式で、3重同心球面の場合にA-最適であるための同心球面の半径比と配置する点の数との関係および最適配置について、新たな結果を得たい。また、この結果をΦp-最適の場合に一般化してみたい。(2)球面上の最適点配置について、最適なt-MODから得られる点配置とクーロン力に関するf-最適な点配置を明らかにしたい。これは平成23年度に得られた例から洞察される新たな研究課題であり、この関係が明らかにされると、球面デザインの特徴づけと新たな構成法への発展が期待される。(3)当初の目標の1つである、球面デザインの統計的最適性(universal optimality)とクーロン力のf-最適と名付けられている最適性との間の双対的関係を明らかにしたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度は、特に、下記の研究計画を考えている。そのために下記のように研究費を主に旅費と人件費に使用したい。(1)3次多項式で、3重同心球面の場合にA-最適であるための同心球面の半径比と配置する点の数との関係および最適配置について、新たな結果を得、この結果をΦp-最適の場合に一般化してみたい。このため、研究分担者(東工大間瀬氏)および当該分野の他の研究者(東京女子大 平尾氏)などとの研究交流を行いたい。また、上海交通大の坂内氏を訪問して研究交流を予定している。(2)また、平成23年度の研究により、その関係性が期待される最適なt-MODから得られる点配置とクーロン力に関するf-最適な点配置を明らかにしたい。実際には、最適な1-MOD, 2-MODの一般的構成法を与え、そこから得られる球面上の点配置がある種のf-最適性の意味で最適となっていることを示し、それによって、f-最適な点配置の新たな構成法に結び付けたい。本研究のために、東北大学 野崎氏と研究情報交換を行いたい。(3)本研究に関する更なる情報交換のため、小規模国際会議を開催したい。本研究に関連する組合せデザインなどの研究者を海外から招へいして、小規模の国際会議を開催したい。時期は11,12月頃を予定している。
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