研究課題/領域番号 |
23654031
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
神保 雅一 名古屋大学, 情報科学研究科, 教授 (50103049)
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研究分担者 |
澤 正憲 名古屋大学, 情報科学研究科, 助教 (50508182)
間瀬 茂 東京工業大学, 情報理工学(系)研究科, 教授 (70108190)
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キーワード | 球面デザイン / ユークリッドデザイン / 組合せデザイン / 統計的最適性 |
研究概要 |
本年度は、昨年度に続き、ユークリディアンデザインの統計的最適性に注目し、非積分多項式が2次以下のときに、複数の同心球面上でΦp-最適となる球面デザインの満たすべき点配置について、半径比と最適配置の場合の各球面上の点の数、および最適な点配置を明らかにした。本研究成果は、2012年7月に開催されたims-APRMで発表し、論文としてまとめて投稿した。 また、複素球面上の球面デザインについても研究を行い、量子ジャンプ符号に用いられるmutually orthogonal t-designs(t-MOD)という複素数上の組合せデザインが最適である場合には、それらを複素球面上に配置することにより、それらの点の間の内積に注目すると内積の絶対値の種類が非常に少ない点配置が存在する例を5次元複素球面上で見出した。これは、複素球面上の配置のクーロン力によるf-エネルギーを最小化する組合せ構造と関係があると思われる。 また、2012年11月に、これらの研究成果について情報交換を行うことを目的として、日本、台湾、中国などの組合せデザインやグラフ理論の研究者、代数的組合せ論の研究者の参加を得て国際会議を開催した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H24年度までに、当初の計画のうち、非積分多項式が2次以下のときに、2つ以下の同 心球面の場合にΦp-最適となるユークリディアンデザインの満たすべき点配置について、半径比と最適配置の場合の各球面上の点の数、および最適な点配置を明らかにした。本研究成果は、2012年7月に開催されたims-APRMで発表し、その後、論文として まとめて投稿中である。 また、研究開始当初は想定していなかったが、量子ジャンプ符号に用いられるmutually orthogonal t-designs(t-MOD)という複素数上の組合せデザインを導入し、与えられたパラメータのもとでデザイン数が最大という意味で最適な1-MODの構成例を与えたが、この例は、5次元複素球面上に配置すると互いの点の内積の絶対値が2種類しかないというきれいな構造を持っており、配置のクーロン力によるf-エネルギーを最小化する組合せ構造と関係があると思われる結果を得た。この成果は、今後の研究の指針となるものであり、同様のより多くの点配置を見出すテーマへとつながるものである。 しかし、当初の目的の1つであった、球面上のf-最適性と統計的Φp-最適性との双対関係については、まだ、明らかにするに至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
H25年度は本研究の最終年であり、下記のような研究を遂行して行きたい。 (1)、H24年度から取り組んでいる課題、すなわち、3次多項式で、3重同心球面の場合にΦp-最適であるための同心球面の半径比と配置する点の数との関係および最適配置について、新たな結果を得たい。また、m変数、n次多項式の場合に、多重同心球面上でのΦp-最適な点配置に関するより一般的な結果を得たい。 (2)最適な1-MODの無限系列を構成し、これらから得られる複素球面上の点配置とクーロン力に関するf-最適な点配置を明らかにしたい。これはこれまでに得られた例から洞察される新たな研究課題であり、複素数体上の球面デザインの新たな構成法への発展が期待できる。 (3)当初の目標の1つである、球面デザインの統計的最適性(universal optimality)とクーロン力のf-最適と名付けられている最適性との間の双対的関係を明らかにしたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は、下記のような研究計画を考えている。そのために下記のように研究費を主に旅費、招へい旅費に使用したい。 (1)平成24年度に続き、3次多項式で、3重同心球面の場合にA-最適であるための同心球面の半径比と配置する点の数との関係および最適配置について、新たな結果を得、この結果をΦp-最適の場合に一般化してみたい。このため、研究分担者(東工大間瀬氏)および当該分野の他の研究者(東京女子大 平尾氏)などとの研究交流を行いたい。(2)また、最適な1-MODあるいは2-MODを構成して、それらを複素数体上の球面に配置した際の内積の値に注目し、これらの配置がクーロン力に関するf-最適な点配置となるか否かを明らかにしたい。それによって、f-最適な点配置の新たな構成法に結び付けたい。本研究のために、東京女子大平尾氏などと研究情報交換を行いたい。 (3)また、情報交換のため、本研究に関連する組合せデザインなどの研究者を海外から招へいして、共同研究を実施したい。 (4)また、1-MODなどを計算機で構成するためのプログラミングの謝金を準備しておきたい。
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