研究課題/領域番号 |
23654033
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
蓮尾 一郎 東京大学, 情報理工学(系)研究科, 講師 (60456762)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 国際研究者交流 オランダ / 国際研究者交流 イギリス / 国際研究者交流 ポーランド / 国際研究者交流 オーストリア |
研究概要 |
本研究課題の第一の背景は,研究代表者による,モジュラーなシステム設計の数学的モデリング(圏論的な「小宇宙原理」による)である.平成23年度においてはまず,この論文を国際会議CALCOの予稿集の中で出版し,会議中に発表を行った.この際,理論・応用両面にわたって,多くの有意義なフィードバックを得た.また,本研究課題のもう一つの背景たる双対性について,指導学生とともにサーベイと研究を行った.本研究課題では,仕様記述のための様相論理の基礎として双対性を用いるが,双対性の応用範囲はこれにとどまらず,計算機科学・論理学・数学のあらゆる側面にわたっている.平成23年度においては,これらさまざまな双対性,特に量子力学の基礎における双対性について,理解の深化を図った.これは,研究課題進展のための数学的基礎整備となるものである.さらに,応用面での可能性として,Oxford 大の M. Kwiatkowska 教授との議論から,一階モデリング言語 Promela が応用上のターゲットとして有望であるという知見を得た.Promela は,(おそらく最も普及した)モデル検査ツール SPIN においてシステム記述に用いられるモデリング言語であり,応用がうまくいったあかつきには大きなインパクトが期待できる.平成23年度には,産業界の研究者との研究協力も開始した.議論を通じて明らかになったのは,システムコンポーネントの組み合わせと,そのモジュラーな品質保証が,産業界のシステム設計の現場でも大きな問題であることである.今後この協力関係を継続し,本研究課題で得られた理論的成果の応用を図っていきたい.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
挑戦的な本研究課題にあって,目的とする理論的枠組が既に得られたわけではないが,理論面・応用面から,その基盤整備を着実に積み重ねている実感がある.平成24年度においては,ぜひこれを実際の理論的枠組に結実させたい.
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度に行ったサーベイ・理論的基盤整備・応用的基盤整備をもとに,理論的なブレイクスルーを図る.理論的な成果が得られるかどうかは,対時間・対費用で計算できるものでは決してないが,外部(とくに国外)の研究者との戦略的な協働によって,成功率をできるだけ上げることを試みたい.
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次年度の研究費の使用計画 |
主に議論のための研究者往来(旅費)に用いる.
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