研究概要 |
有限体上のBuchbergerアルゴリズムの計算経過(trace)を用いて, 他の有限体上でのBuchbergerアルゴリズム計算において、最初の有限体上で0でないようなS多項式のみを計算するようなショートカットを実装した。この実装ではtrace情報として、正規化計算で選ばれるreducerも使用してみた。各有限体上で得られた結果を中国剰余定理で結合して、ある頻度で整数-有理数変換を行ってcheckを行うが, 逐次計算での実験をした限りでは, 必ずしも結果に正当性があるtrace lifting よりもよい結果が得られるとは限らない。そこで、並列計算も行えるように改良することにした。この実験は次年度に行う。一方で, 各有限体上の結果をより高速に得る方法としてF4アルゴリズムの実装をさらに改良することも目標としている。これについては、まず種々の例に関する現在の実装の挙動を調べてみた。結果として、S多項式が少なく、reducer が多い場合に大変無駄が多くなるような実装であることが判明した。これについても次年度の課題とする。
|