研究概要 |
偏微分方程式論の研究において、相空間上で議論を展開することにより解の性質に関する情報を引き出す方法論(相空間解析)は、解析力学の登場以来古くから用いられている手法のひとつである。この研究は、特に解の定量的な情報(Lp-型評価など)を相空間解析により導き出すための、包括的で新しい方法論を構築することを目指すものである。さらに、この方法論を非線形問題などの偏微分方程式の諸問題に応用し、「比較原理」「フロー法」などの評価式導出の際の新しいアイデアも取り込みながら、変数係数の場合など方程式の一般化へのブレークスルーの可能性をも探るものである。本年度は、まずは研究の基本的部分とでもいうべきモジュレーション空間に関する基本的性質の解明に取り組み、以下の様な成果を得た: 1.モジュレーション空間とソボレフ空間との間における包含関係の決定 2.モジュレーション空間上で非線形作用が閉じるための十分条件の導出 3.モジュレーション空間上で正準変換が閉じるための十分条件の導出また、これらの研究成果を"From Abstract to Computational Harmonic Analysis", Strobl, Austria (June 13-19, 2011)、"ISAAC 2011 Congress", Moscow, Russia (August 22-27, 2011)、"2011 NCTS Taiwan-Japan Joint Workshop on PDEs and Geometric Analysis"Hsinchu, Taiwan (December 19- 21, 2011) などの国際研究集会に招待された際に口頭発表をした。
|