研究課題/領域番号 |
23654053
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
綿谷 安男 九州大学, 数理(科)学研究科(研究院), 教授 (00175077)
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キーワード | 作用素 / quiver |
研究概要 |
大きなヒルベルト空間に含まれる小さい部分空間の相対的な位置関係を研究する。さらにquiverと呼ばれる有向グラフの、頂点にヒルベルト空間を対応させ、辺に有界線型作用素を対応させるヒルベルト表現を研究した。部分空間の相対的な位置関係は包含関係を矢印とみなすことで自然にあるquiverのヒルベルト表現とみなすことができる。逆にquiverのどんなヒルベルト表現にたいしてもその準同型環を保つような部分空間の相対的な位置関係を構成できることを示した。 特に2個の頂点と2個の辺からなるクロネッカーquiver の直既約な無限次元表現をstrongly irreducible operatorを利用することで構成した。さらに直既約よりもっと強い、transitiveな表現を、重みつきシフトs作用素の階数1の摂動を使って構成した。ここで重みの取り方を変えることで非可算個のtansitive なヒルベルト表現の構成に成功した。これ以外に、非有界作用素を有界作用素の商と解釈して二つに分けることを用いる別の方法でtransitiveなクロネッカーquiverの新たなヒルベルト表現も構成することにも成功した。 quiverのヒルベルト表現に直既約な表現、transitiveな表現、単純な表現などいろいろなクラスを考えるとともにその間の包含関係を調べた。包含関係がないときは、それを示す具体的な例も構成できた。有限次元と無限次元の差が顕著に表れることがあることもわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
quiverの無限次元の直既約なヒルベルト表現やtransitiveなヒルベルト表現の構成は難しいように思われたが、strongly irreducible operatorとの類似がその困難を和らげてくれて、例の構成に成功した。
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今後の研究の推進方策 |
quiverのtransitiveなヒルベルト表現と元のグラフがDynkin図形のA型、D型、E型であることに関係がないかを調べたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
連携研究者の榎本さんは関西の大学にいて離れているので、お互いに何回も大学を訪問して、共同研究を発展させていきたい。
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