研究実績の概要 |
(1)津波のモデル方程式の基礎となる水の波の運動に対して, (i)水底の凹凸が時間変化する場合の影響について考察した. その時間変化が比較的遅い場合には,水の波の基礎方程式系が変形 Green-Naghdi 方程式によって高次近似されることを証明した; (ii)水の波の基礎方程式系が有する変分構造から導かれた Lagrangian における速度ポテンシャルを近似することにより得られた近似 Lagrangian に対する Euler-Lagrange 方程式の初期値問題を考察した.その初期値問題は, 初期面が特性曲面となっているので,一般には可解でないが, その可解性のための必要十分条件の特徴付けを与えた.さらに,自明解における線形近似方程式系が,浅水波近似と見なせること,Green-Naghdi 方程式よりも高次近似方程式となっていることを示した. (2)Hurricane モデル方程式の研究に関しては, 3次元半空間内における渦糸運動,特に渦糸端点での境界条件が曲率が零になる場合と境界面に直交する場合に対する初期値-境界値問題の時間局所的適切性を証明した. (3)Hele-Shaw セル中の fingering 現象に対して, ニュートン流体運動に境界濡れ効果を取入れた自由境界問題の弱非線形解析を行った. この結果の非線形数学解析を, 準定常近似法を用いて行った. (4)数値気象予報における基礎方程式である大気/海洋2相モデル方程式系の自由境界問題に対する可解性を証明した. (5)プラズマ物理学関連の研究としては, 抵抗性ドリフト波乱流の2粒子モデル方程式である Hasegawa-Wakatani 方程式に対する初期-境界値問題の可解性を, 初期値がステパノフの意味での概周期関数である場合に証明した.
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