研究課題/領域番号 |
23654059
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
小川 卓克 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (20224107)
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研究分担者 |
永井 敏隆 広島大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (40112172)
黒木場 正城 室蘭工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60291837)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 非局所放物型方程式 / 臨界型Sobolev不等式 / 臨界指数 / 退化放物 / Charn-Simons-Dirac / 適切性 / 圧縮性Euler-Poisson / 非線形熱方程式 |
研究概要 |
研究代表者の小川はSobolev 臨界型指数を持つ非線形退化型drift-diffusion 方程式の時間大域的可解性を論じ, 古典的ポテンシャルwellの方法により時間大域的存在のSobolev臨界指数を持つ非線形楕円型偏微分方程式の特解で特徴付け, またそうした時間大域解の時間無限遠での漸近挙動を明らかにした. 研究代表者の小川と分担者の黒木場は, 重力運動下の多種・多重粒子系の相互作用場に対する移流拡散方程式系を考察し, 全空間での初期値問題に対して, 空間遠方に対して重み函数を導入して時間局所解の存在定理を示した. さらに有限時刻での解の特異性の発生に対して, 系の各成分の質量の値の関係と爆発の関連を考察した. 研究代表者の小川は, 共同研究者の眞崎 聡と共に, 非線形Schroedinger -Poisson 系を空間2次元で考え, そのWKB 近似解が分散型圧縮性Euler 方程式と関連している点を考察し, 分散型圧縮性Euler-Poisson 方程式の2次元での可解性を臨界Besov空間で示し, 特にその一意性と, Planck定数 0-極限のWKB 近似での圧縮性Euler-Poisson 方程式への漸近収束性をPlanck 定数をパラメータとして示した. 研究分担者の 永井は, Keller-Segel 系の空間2次元での解の時間大域的漸近挙動に付いて, 初期値の総質量が臨界値である8\pi を与える際にその解が初期条件に応じて時間無限遠で, 増大あるいは振動などいくつかの様相を呈することを分類した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
完全可積分構造の構造の一端として変分構造に根ざす, Charn-Simons エネルギーにDirac 場のかかるエネルギー汎函数を考えて可積分構造を用いて低次元の場合の問題の適切性を示すことが可能となった. エネルギー汎函数やエントロピー汎函数と可積分構造の研究は当初の目的の一つであった. そうした方面で一定の成果が出せた古語は意義がある. 一方震災の影響で, 海外派遣, 研究交流で時間的人的制約があったのは否めない. 実際2次の非線形シュレディンガー方程式の可解性の限界を探索する問題は高次元の問題を含めて未解決な部分が残った.
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今後の研究の推進方策 |
昨年度に引き続き, 前年度の基本方針を遂行する. 非局所効果を持つ放物型-楕円型偏微分方程式系、非線形分散型方程式の高次漸近展開、非線形消散波動方程式の適切性、漸近収束性、流体方程式のあり得る特異点の次元の解析の3 点に焦点をあて、これらの問題についての情報収集、研究交流を行う。初年度の遅れを取り戻し, 上記の課題に対して十分な研究遂行をめざす.
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次年度の研究費の使用計画 |
研究初年度において, Keller-Segel系の様々な保存則と完全可積分性との探索が十分でなかった. 分担者との研究打ち合わせが震災などが影響して十分に行えなかったためである. 今年度はまずこの部分を重点的に実施する. そのために必要となる打ち合わせ旅費を当てる. 一方, Charn-Simons-Dirac 系の可積分構造に根ざすと考えられる構造を抽出して高次元の問題への応用をはかる研究を行う. この部分は当初, 予期していなかった成果ではあるが, 昨年度中に2次元への展開を目指していたものである. これらは研究分担者の黒木場氏と協力者の町原秀二氏に協力を依頼し2次元の問題への展開を図る. このための研究打ち合わせ用の旅費を今年度の研究費とあわせて用いる. また, 完全可積分構造を持つ3次の非線形シュレディンガー方程式の非完全可積分版に対する, 正則性理論を探査する. この部分は昨年度ほとんど手を付けられなかった部分ではあるが, この部分も, 今年度の請求分とあわせて研究打ち合わせを行う.
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