研究実績の概要 |
○ 2次元移流拡散方程式はKeller-Segel 方程式系の極限方程式と解釈でき, それらの多様な挙動を支配する問題として注目されている. これまで空間遠方に重みを置かずに時間大域的可解性について考察してきたが, 特に初期条件として測度をもった場合に, 分担者の永井敏隆氏と共同でその時間大域的存在を臨界値8piを含めて示した. ○ 2次元ユークリッド空間内での移流拡散方程式は初期条件がL1のときに臨界となるが, 重み付きL2空間では一次モーメントがL2有界となる設定が有界となる. 黒木場正城氏と共同で臨界設定となる重み付き空間での移流拡散方程式系の初期値問題の可解性と時間大域可解性および有限時刻での解の爆発を示した. ○3次元ユークリッド空間内での移流拡散方程式は初期条件の時間局所解の存在は臨界空間においてすでに得られていたが, 初期条件に対するentropyに対する上からの制限の元で, 解が有限時刻で爆発することを示した. この場合問題は優臨界状況となり2次元ユークリッド空間内での問題と異なりより弱い初期条件への仮定の下で爆発が示される. 証明には情報理論において用いられるFisherの不等式とdaivergeneに対する凸型最良評価を用いる. ○ 初期条件への時間変数のトレースに相当する最大正則性原理成立の必要性を清水扇丈氏との共同研究で示した. これにより, 時間L1の最大正則性原理は初期値に対して, 厳密に実補間空間に属す場合のみ成立し,それより改良できないことがわかる. また外力に対するDanchinによる証明の別証明を空間積分指数pが1より小さい場合の評価も得られる. さらに空間変数にのみ依存する変数係数を主要部にもつ線型熱方程式の解に対して最大L1 正則性を証明した.
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