(1) コメニウス大(スロバキア)のマレック・フィラ氏、大阪府立大の川上竜樹氏と共に、半空間上で非線形動的境界条件の下でラプラス方程式を考察し、藤田臨界指数と呼ばれる時間大域解の存在および非存在に関する臨界指数を同定した。また、大域解が存在するための初期値関数の条件を、方程式に対する相似変換不変なものとして与え、さらに、その大域解はポアソン核のように振る舞うことを明らかにした。また、この解の境界上での振る舞いは分数冪ラプラス作用素に対する非線形発展方程式の解として見ることができ、関連結果との比較検討を行った。 (2) (1) と同様に、コメニウス大(スロバキア)のマレック・フィラ氏、大阪府立大の川上竜樹氏と共に共同研究を行い、動的境界条件の下、非線形楕円型方程式に対する大域的正値解の存在・非存在について考察を行った。この研究においては、弱い意味での適切な解の定義は何か、という問いから考察しなくてならないが、ここでは、ポアソン核を用いて解をある積分方程式の解として定義し、時間大域解の存在および非存在に関する藤田臨界指数を同定した。また、方程式に対するある相似変換について不変な条件を初期値関数に課し、その条件の下、大域解が存在し、かつポアソン核のように時間無限大で振る舞うことも証明した。これらの結果は、半空間における非線形楕円型方程式の正値解を与えるが、これは1990年代のある非線形楕円型方程式の解の存在・非存在の結果が最適であることを保証するものにもなっている。
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