研究課題
200-300MeV/核子の重イオンビームを用いて不安定核の原子核構造を調べる場合、標的での核反応から放出される入射核破砕片の粒子識別と4元運動量の測定が必要不可欠である。こ野為には運動量、電荷の測定に加え高精度の全エネルギー測定が必要になるが、質量数100付近では約30GeVの全エネルギーを0.2-0.3%(rms)の精度で測定する事が必要になり非常に困難である。一つの方法として稀ガスを固化してその発光を測定する方法が考えられる。低価格のアルゴンは発光時定数が長く、高計数率にはむかない。一方キセノンは短い時定数を持ち、高計数率には適しているが、高価である。アルゴンに微量のキセノンを混合すると、価格を低くおさえたまま、発光時定数を短くすることが可能であると考えられる。本研究の目的は、アルゴンに微量のキセノンを加えた混合ガスを液化又は固化させた検出器を製作し、その発光を測定する事により重イオンの全エネルギーを高精度で測定する方法を検証することである。検証の為には、混合ガスを液化又は固化する冷却ブロック、それを液体窒素で冷却する液体窒素リザーバーとコールドフィンガー、冷却ブロックからの光を観測する光電子増陪管の部分、混合ブロックやコールドフィンガなどを収容する真空箱、ガス処理系、からなる装置が必要である。 今年度は、真空箱、液体窒素リザーバー、コールドフィンガーなどの真空関連部分と、ガス処理系の製作までを行った。
3: やや遅れている
初年度に単体のガスを液化又は固化し、アルファ粒子などからの発光を観測するところまで到達したかったが、大体の装置の準備の段階までしか至らなかった。理由としては、(1)3月の地震で実験室がめちゃくちゃになり、元の状態まで回復させるのに5月末頃までかかったこと、(2)当グループが(中性子検出器を除く)全ての検出器を担当している理研RIBFで建設中のサムライ計画が最終年度にあたり、本研究へあてるマンパワーが不足していたこと、などがあげられる。
混合ガスを冷却する混合ブロックの製作、それからの光を観測する支持部分の製作を最優先で行い、ともかく液化又は固化した混合ガスからの光を観測可能な装置の完成をめざす。
冷却ブロックの製作と、必要な量のキセノンガスの購入が主になる。
すべて 2011 その他
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Journal of Physics, Conference Series
巻: 312 ページ: 052022-052027
Phys. Lett. B
巻: 697 ページ: 459-462
http://lambda.phys.tohoku.ac.jp/~kobayash/samuraiC/index.html