研究課題
マウンダー極小期(西暦1645-1715年の黒点消失期)の氷床コア中に含まれる宇宙線生成核種の年々変動データからは、約28年に一度の宇宙線の1年スケールの異常増加が発見されている。太陽活動の低下に伴い太陽圏の3次元構造が変化したことによって宇宙線変動の22年変動成分が増幅したためであると示唆されている。マウンダー極小期における太陽活動周期は14年であり、28年周期は太陽の双極子磁場の反転周期に相当する。一方、北半球の気候変動の復元データからは、宇宙線生成核種の変動に同期した28年変動が見つかっており、宇宙線変動が気候変動に影響をおよぼしていた可能性を示唆している。ただし、氷床コアから得られるデータには、数年の年代決定誤差があるため、宇宙線イベントの絶対年代を決定するためには、樹木年輪中の放射性炭素によりイベントを検出する必要がある。本研究では、山形大学高感度加速器質量分析センターに導入された加速器質量分析計を用いて、樹木年輪中の炭素14の測定精度を向上させるための基礎実験を行ってきた。マウンダー極小期周辺において宇宙線の異常増加は計4イベントが見つかっている。本研究では、それらの年代について年輪を剥離し、多重測定によって加速器質量分析計の安定性の検証と測定精度向上のためのメソッド開発を行った。結果、従来の1/4以下の測定誤差を達成することに成功した。
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