研究課題
本研究は、これまであくまで理論上の仮想的な存在でしかなかったワームホールを、観測的に検証する手段を検討し、実際に探索を実施してその存在量に制限を付けることを主たる目的としてスタートした。また、理論的な存在の意義や可能性についても理解を深めることも目指した。こうした目標を達成すべく、研究者間の交流と議論を行う研究会を2回実施した。あわせて、関連学会での講演などを行い本研究の意義を周知した。その結果、従来ワームホールにあまり興味を持たなかった研究者も研究に参加する様になり、ワームホール研究が大きく前進した。具体的には、新しいワームホール探索法が次々と考案されたこと、ワームホールの安定性に関する研究が進展しその存在可能性に関する理解が進んだことなどがあげられる。そして、ガンマ線バーストのデータやスローンデジタルスカイサーベイの画像などから実際にワームホール探索が実施され、存在量に制限が付けられた。しかし、それ以上にこれまでばらばらに行われていたワームホール研究の研究者間の交流が進み、共同研究などがさかんになったことの意義が大きい。また、本研究期間中一般向けの講演会も3回行われ、ワームホール研究の面白さと意義を多くの人に知っていただくことができた。当初予定した以上の進展があったと言える。また、今年度はワームホールに加えて原始ブラックホールに関する研究も実施した。これも理論的に予想されているエキゾチックな天体である。これまでに得られた存在量の上限からは、星の数以上に多くの大型ワームホールが存在する可能性は無くなりつつある。また、ワームホールの安定性からはワームホールが安定に存在しうる可能性は少ないと見られる。しかし、今後宇宙論や重力理論の進展に伴い新たな進展がある可能性もあり、また今後GAIAやEuclidなどの宇宙望遠鏡のデータからさらに強い制限が得られる可能性がある。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (20件) (うち招待講演 1件) 備考 (3件)
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