研究課題/領域番号 |
23654085
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
岩下 芳久 京都大学, 化学研究所, 准教授 (00144387)
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研究分担者 |
阪部 周二 京都大学, 化学研究所, 教授 (50153903)
岡村 昌宏 独立行政法人理化学研究所, その他部局等, 研究員 (80332245)
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キーワード | 加速器 / レーザー / イオン源 |
研究概要 |
イオン加速器は、素粒子・原子核研究の分野にとどまらず、近年では粒子線癌治療やハイブリッドカーに使用される大電流IGBT製造まで、広範な応用分野で利用されるようになってきた。このため、物理研究用の大型且つ複雑な構成を持つ構造からシンプルでより扱い易い汎用加速器への進展が強く望まれている。しかしながら、陽子以外のイオンで多価・高電流を発生するためには、数億円の建設費が必要な、超電導電子サイクロトロンイオン源や電子ビームイオン源が実用化されているだけである。そこで、全く新しい概念に基づくイオン発生、及び、加速方法の研究開発を行い、加速器システム全体のコストダウン、小形化を目指す。これは信頼性の向上にも繋がり、大型装置では施設の稼働率向上に有効な手段となる。 イオン種に関して、固体ターゲットのほうがガスターゲットよりも取り扱いが簡単なので、まず炭素イオンとしてきた。今年度はレーザーの短パルス照射に於ける素過程を測定するため、CPAレーザーを使用して発生するイオンの時間構造を観測するため、小型の空胴を用意した。これにレーザーの約50MHzの源発振の信号を増幅して励振し、1mmのギャップにRF電圧を発生させ、この電場により発生イオンの時間構造を推定する試みを行った。ギャップ間での放電を避けるために、レーザー強度とタイミングの調整が合わせる必要が有る。あいにく源発振の信号がレーザーアンプ駆動のためにポンピングフラッシュから来ると思われるノイズをかぶり、安定な励振が出来ていなかったが、レーザー強度を適当に調整すると、タイミングによりこの放電の有無が変わる事が確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
レーザーは短パルス照射に於ける素過程を測定するため、今年もCPAレーザーを使用する予定であったが、使用予定の装置が、実験の準備状況の都合により、KEKのレーザーを使用して実験を継続した。あいにく、KEKのレーザー側との調整が間に合わず、信号の安定度などに不具合が出たため、予備実験を行った段階で今年度は終了となった。
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今後の研究の推進方策 |
実用化を考えた場合、ファイバーレーザーの使用など、小型化を考慮する必要が有る。ファイバーレーザーが使用可能になれば、手元での実験が可能になり、より円滑な研究推進が可能になる。これの準備を進めつつ、既存のレーザー施設での実験を考慮して実験体系の整備を進め、短パルスレーザー照射により発生するイオンの時間構造に関する知見を得たい。
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次年度の研究費の使用計画 |
実験装置の準備が遅れているため、継続実験が必要になった。そのための費用を繰り越した。 継続実験のための旅費、装置の準備費用に充てる。
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