研究課題/領域番号 |
23654089
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
原 俊雄 神戸大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (50156486)
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研究分担者 |
鈴木 州 神戸大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (20243298)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 液体シンチレータ / 原子炉モニタ / 原子炉ニュートリノ |
研究概要 |
液体シンチレータの発光量を測定する装置の設計・製作を行った。液体シンチレータをバイアル管に封入し、それに密着させた光電子増倍管(H7195)にて捕らえた光量をアナログデジタル変換(ADC)してパーソナルコンピュータで取り込む装置である。放射線源としてCo60(1.17MeVと1.33MeVのγ線)を用い、γ線が起こしたコンプトン散乱の電子線の発光を測定するのであるが、その発光量(ADC値)の分布を取り、コンプトンエッジの存在を確認し、そのコンプトンエッジ値で発光量を定義する。現在、コンプトンエッジ測定ができ、発光量が既知の市販のバイクロン社の液体シンチレータ(BC521)を主剤とした試薬での値は既存の実験値と同様であり、測定装置が十分稼働することを確認している。 液体シンチレータは、放射線のエネルギーを吸収して励起し、発光剤である溶質にエネルギーを伝達する溶媒と、発光剤としての溶質からなる。その溶媒として水を主成分とする液体シンチレータを開発するのが、本研究の目的である。その第一段階として、溶媒構成物質として水溶性と考えられる芳香族分子等の物質を探し、それと水との混合液に溶質としてのPPOが溶解するか否かを調べている。溶媒構成物質としての芳香族分子の2-ピリジンカルバルデテドオキシム、フェニルホスホン酸、ナフチオン酸ナトリウムの水に対する溶解度は、それぞれ水100mlに対して5g、5g、10gである。これらに対してPPOは溶解せず、現時点では有効な溶媒は見つかっていない。本研究は、以上の溶媒、溶質に界面活性剤を加えて、有効な水を主成分とする液体シンチレータを探すのも目的である。界面活性剤としての塩化ベンザルコニウム、ドデシル硫酸ナトリウムの水に対する溶解度は、それぞれ100mlに対して80g、30gである。これらにはPPOは可溶である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
液体シンチレータの発光量を測定する装置の設計・製作は終了し、十分に光量測定ができる状態にある。この装置製作に時間がかかった。 水に溶解する芳香族分子等はいくつか特定できてはいるが、溶質であるPPOが溶解する溶媒は見つかっていない。他の芳香族分子等を探さなくてはならない。 水に溶解する界面活性剤は特定できており、それらには溶質であるPPOは溶解することを確認している。 今後、これらの界面活性剤を利用して、PPOが溶解する溶媒(芳香族分子等と水との混合液)を探すことを行う。
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今後の研究の推進方策 |
溶質であるPPOが溶解して、水に溶解する界面活性剤は特定できているので、それを利用して、PPOが溶解する芳香族分子等の溶媒を探求する。次に、それらに対して、Gdの溶解性を確認する。 以上の水を主成分とした液体シンチレータの発光量を、放射線源としてCo60(1.17MeVと1.33MeVのγ線)を用いて製作済みの装置を使って測定する。同時に、3段階の温度状態に保存しての経年変化測定を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
芳香族物質、発光剤 及び Gd化合物等の化学薬品バイアル等化学薬品用容器光電子増倍管H7195解析用コンピュータ一式実験及び研究打ち合わせ旅費
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