研究課題/領域番号 |
23654089
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
原 俊雄 神戸大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (50156486)
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研究分担者 |
鈴木 州 神戸大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (20243298)
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キーワード | 液体シンチレータ |
研究概要 |
液体シンチレータの発光量を測定する装置の設計・製作を行い、水を主成分とした液体シンチレータの開発を進めた。液体シンチレータをバイアル管に封入し、それに密着させた光電子増倍管にて捉えた光量をアナログデジタル変換してパーソナルコンピュータで取り込む装置を製作し、且つ発光量解析プログラムを作成した。発光源として60Co(1.17MeVと1.33MeVのγ線)を用い、γ線が起こしたコンプトン散乱の電子線の発光を測定するのであるが、その発光量(ADC値)の分布を取り、コンプトンエッジの存在を確認し、そのコンプトンエッジ値で発光量を定義する。そして、その発光量(ADC値)を、光電子数に変換して、発光量を評価する。この方法で、発光量が正しく測定できることをシミュレーションにて確認した。よく知られている有機物プソイドクメンを主成分とした試薬での発光量を測定し、316.6±2.5光電子数であったので、この値を基準値として水を主成分とした液体シンチレータの開発を進めた。 開発は、1.(ベンゼン環のついた)界面活性剤を用いて発光剤(PPO)を水に溶かす 2.親水基を持つ芳香族分子を水に溶かして、それに発光剤(PPO)を溶かす 3.水溶性の発光剤を使用する の三種類の方法で進めた。その中で1の方法の、70%水+30%ドデシル硫酸ナトリウム(界面活性剤)+ 30g/L PPO(発光剤)の液体シンチレータの発光量は、30.0光電子数であった。これは、基準値の約1/10であるが、開発を進めていく上で、期待できる値であると考える。これからは、他の界面活性剤も使用し、且つ第二発光剤(波長変換剤)であるBis-MSB等を添加して、開発を進めていく。 以上の結果は、日本物理学会年会(平成25年3月26日広島大学)にて発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
液体シンチレータをバイアル管に封入し、それに密着させた光電子増倍管にて捉えた光量をアナログデジタル変換して、それを光電子数に換算して発光量を評価する。具体的には、発光源として60Co(1.17MeVと1.33MeVのγ線)を用い、γ線が起こしたコンプトン散乱の電子線の発光を測定するのであるが、コンプトンエッジを測定するための測定装置の調整と、解析プログラムの確定に時間を要した。 水を主成分とした液体シンチレータの開発は、1.(ベンゼン環のついた)界面活性剤を用いて発光剤(PPO)を水に溶かす 2.親水基を持つ芳香族分子を水に溶かして、それに発光剤(PPO)を溶かす 3.水溶性の発光剤を使用する の三種類の方法で進めた。発光剤(PPO)の溶解度が低く、且つ透明度が悪くなることが多く、コンプトンエッジが測定できる液体シンチレータの探索に時間を要した。現在、70%水+30%ドデシル硫酸ナトリウム(界面活性剤)+ 30g/L PPO(発光剤)の液体シンチレータの発光量は、30.0光電子数であり、これは、基準値の約1/10であるが、開発を進めていく上で、期待できる値であると考える。 以上の結果は、日本物理学会年会(平成25年3月26日広島大学)にて発表し、一定の評価は受けたので、やや遅れていると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後も開発は、1.(ベンゼン環のついた)界面活性剤を用いて発光剤(PPO)を水に溶かす 2.親水基を持つ芳香族分子を水に溶かして、それに発光剤(PPO)を溶かす 3.水溶性の発光剤を使用する の三種類の方法で進めるが、基準値の1/10程度の発光量の水を主成分とした液体シンチレータに関して、第二発光剤(波長変換剤)Bis-MSB等を添加して、発光量の大きい液体シンチレータの開発を進める。 これまでは、水を70%以上として開発を進めてきたが、水を50%まで減量したときの、発光量の水量依存性も調べる。 以上の液体シンチレータで、最も発光量の大きい液体シンチレータに対して、数ヶ月の経年変化(劣化の時間変化)の測定を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
薬品(界面活性剤、発光剤 等)の購入 化学実験器具(ビーカー等)の購入 日本物理学会での発表のための旅費
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