• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2011 年度 実施状況報告書

標準模型を超える理論の統一に向けて

研究課題

研究課題/領域番号 23654090
研究機関神戸大学

研究代表者

林 青司  神戸大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (80201870)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード標準模型を超える理論 / ヒッグス相互作用 / 統一理論
研究概要

この科研費による研究は、標準模型を超える理論の統一を目指すものである。標準模型の階層性問題の解法を探る試みから代表的な標準模型を超える理論が構築されて来たと言っても過言ではないが、代表者は1998年に、こうした理論の魅力的な候補として、ヒッグスを高次元ゲージ場の余剰次元成分と見なす"Gauge-Higgs Unification (GHU)"理論を提唱した。この理論では高次元ゲージ対称性の帰結として、ヒッグス質量への量子補正が有限と成り(量子レベルの)階層性問題が解決される。最近、代表者は、このGHUとLittle Higgs や超対称性理論といった、一見異なる他の標準模型を超える代表的な理論の間に密接な関係があるとの認識に至った。興味深いことに、これらのシナリオは皆、階層性問題を対称性に基づいて解決しようとする、という共通点がある。この研究では、これらの関係を明らかにすると共に、これらを統一する理論の可能性を探ることを主目的としている。 当該年度の研究では、GHUとLittle Higgs との関係に的を絞って研究を進めてきた。まずは、これらの間に、ヒッグスが4次元時空の意味での擬スカラーと見なせる、ヒッグス場をずらす"shift symmetry"が存在する、階層性問題はいくつかの粒子の寄与の和により回避される、等の共通点がある、との知見を得て、これらの密接な関係に関する理解を深めた。更には、GHUの真に特徴的な予言として、標準模型とは大きく異なる"異常な"ヒッグス相互作用(湯川結合等)の存在を議論し、論文として公表すると共に国際会議等で招待講演を行った。Little Higgs においても同様の標準模型からのずれが予想されるので、今後この点に関しても研究を行いたいと考えている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

初年度であるので、まずはGauge-Higgs Unification と Little Higgs との関係に的を絞って研究し、予想通り、dimensional deconstruction のシナリオを媒介することで、両者の間には、ヒッグスが擬スカラー、シフト対称性がある、といった表面的な類似性にとどまらない構造的な深い関係がある、という知見を得た。実際、dimensional deconstruction は余剰次元を格子化したGauge-Higgs Unification と見なせ、またLittle Higgs はdimensional deconstruction の提案する、ヒッグスは南部・ゴールドストーン粒子であるというアイデアを現実的モデルに適用したものである。 更に、Gauge-Higgs Unification シナリオの真に特徴的な予言として、例えば湯川相互作用が特別な真空期待値に対して消えてしまう、といった、ヒッグスがアハロノフ・ボーム位相であるという性質から来る周期性に起因する"異常な"相互作用の存在を議論した。Little Higgs 等でも同様な"異常さ"が存在することが予想されるので、今後、こうした可能性に関しても研究して行きたいと考えている。 こうした状況から、当該年度の研究は、当初の研究目的に沿った、おおむね順調なものであると考えられる。

今後の研究の推進方策

次年度に使用する予定の研究費があるのは、当該年度の研究の過程で、既に述べたようにGauge-Higgs Unification の真に特徴的予言として、ヒッグスに関する"異常な"相互作用が生じる、という新たな知見を得て、このテーマに関して更なる研究を進めるための費用を確保する必要が生じたためである。 今後の研究方針としては、まずはこうしたヒッグスの異常相互作用のみならず、真空期待値により質量を得るゲージボソンのゲージ相互作用に生じ得る異常相互作用に関しても研究を行いたい。 これらに関して一定の成果が得られた後には、Little Higgs、dimensional deconstruction といった密接に関連するシナリオに関しても同様の状況が生じ得るかを見極めたいと考えている。

次年度の研究費の使用計画

研究費は、代表者の、海外のメンバーを含めた共同研究者との研究討論のための旅費、国際会議、学会、研究集会、等での研究成果発表のための旅費、研究を進める上で必要なパソコンのソフト等の購入、等に充てたいと考えている。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] D^0-/barD^0 Mixing in Gauge-Higgs Unification2012

    • 著者名/発表者名
      Y. Adachi, N. Kurahashi, C.S. Lim and N. Maru
    • 雑誌名

      Journal of High Energy Physics

      巻: 01 ページ: 047

    • DOI

      10.1007/JHEP01(2012)047

    • 査読あり
  • [学会発表] Gauge Higgs unification as a scenario of new physics2011

    • 著者名/発表者名
      C.S. Lim
    • 学会等名
      international workshop "Extra Dimensions in the Era of the LHC"(招待講演)
    • 発表場所
      大阪大学・シグマホール
    • 年月日
      2011年12月12日

URL: 

公開日: 2013-07-10   更新日: 2014-08-05  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi