研究課題
この科研費による研究の目的は、標準模型を超えるいくつかの関連する理論の統一を目指すものである。研究代表者は1998年に標準模型を超える理論の新しい可能性として、高次元ゲージ理論の下でゲージ相互作用とヒッグス相互作用を統一するゲージ・ヒッグス統一理論(GHU)を提唱した。この科研費に依る研究は、このGHU と、これに密接に関わるdimensional deconstruction (DD) や little Higgs (LH) といった理論を統一的に理解することを目指すものである。昨年度までの研究において、GHU理論はヒッグスの相互作用に関して、標準模型の予言から逸脱する“異常ヒッグス相互作用”を予言することを議論し、特に湯川結合に関して標準模型からのずれを詳細に調べた。その際、そうした異常相互作用が生じる要因として、物理量がヒッグス場に関して周期的である事と並んで、物質場の持つ質量項の存在に依る余剰次元方向の並進対称性の破れが本質的に重要であることを解明した。こうした知見を基に、今年度は上述のDDシナリオの理論における異常ヒッグス相互作用に関する研究を完成させ、学術論文として雑誌に掲載すると共に、その成果をセミナー等で口頭発表した。DD シナリオは余剰次元を格子化したGHU とも見なせるシナリオなので、異常相互作用の存在は自然に期待される事ではあるが、一方でDD シナリオではGHU の場合と違って、余剰次元方向の並進対称性は正にこの格子化によって破られるため、異常相互作用がフェルミオンのセクターに限らず全てのセクターで普遍的に生じ得るという特徴がある。更に、関連する研究として今年度は、複数の余剰次元を持つGHUシナリオにおけるヒッグス質量の予言、およびGHUシナリオをインフレーション宇宙論のインフラトンとして用いるシナリオに関する論文も完成し、学術雑誌に掲載した。
すべて 2015 2014 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 3件) 備考 (1件)
Progress of Theoretical and Experimental Physics
巻: 2015 ページ: 043B02(23pags)
10.1093/ptep/ptv030
Journal of Cosmology and Astroparticle Physics
巻: 1408 ページ: 001 (10 pages)
10.1088/1475-7516/2014/08/001
巻: 2014 ページ: 123B04(16pages)
10.1093/ptep/ptu161
http://lab.twcu.ac.jp/lim/