研究課題/領域番号 |
23654094
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
川村 静児 東京大学, 宇宙線研究所, 教授 (40301725)
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キーワード | 重力波 / レーザー干渉計 / 自由落下 |
研究概要 |
周期的微小重力干渉計実現のために必要な、周期的自由落下システムと重力波センサー部分の開発およびデータ解析方法の研究、そしてマイケルソン干渉計の小型化を行った。 周期的自由落下システムとしては、リニアモーターとフレームワークを用いてセンサー部分を上下に動かす装置を製作した。コンピュータにコントロールボードを組み込み、そこからドライバに接続し、コンピュータのコマンドによりリニアモーターを上下に動かすことに成功した。 重力波センサーとしては、小さな透明容器の中に金属球2個と、LEDとフォトダイオードからなるシャドウ位置センサーを組み込んだものを製作した。金属球はテフロン性のリングの上に鎮座し、容器の落下とともに浮かび上がったのち、リング上に静かに着地し、自由落下運動を周期的に繰り返すことが可能なシステムになっている。また、金属球がリングから浮かび上がっていることを判断するために金属球の上部にかすらせるようにシャドウセンサーを配置している。また、重力波信号を検出するため、2つの金属球の間隔を別のシャドウセンサーにて計測する。 データ解析に関しては、マッチドフィルターを使うことにより重力波信号を効率的に取り出す手法の開発に成功した。周期的微小重力干渉計においては、通常のつりさげ鏡を用いた干渉計とは違って、信号が断続的であり、各セグメントにおいて鏡の初期位置や初期速度がコントロールできないという問題がある。しかし、各セグメントで平均位置と平均速度を計算し、その量を抜き去ることにより重力波信号を残すことが可能である。そして、その信号に対して、さらにマッチドフィルターを用いて解析を施すことにより、重力波信号を効率的に取り出すことが可能となる。 また、最終的には、現在のシャドウセンサーをレーザー干渉計に置き換えるため、小型の干渉計を制作した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は当初は国立天文台において行われていた。しかし、受け入れ研究者である川村の国立天文台から東京大学宇宙線研究所への異動に伴い、本研究を行う大学院生の割り当てが困難となった。また、東京大学宇宙線研究所において、新たに本研究を遂行することとなっていた大学院生が、テーマを別実験に変更し、新しい担当学生を見つけるのに時間がかかった。また、リニアモーターのシステムは出来合いのものではなく、複雑な配線などを全てこちらで行う必要があったためこれに多くの時間がかかることとなった。これらのため実験の進展は当初の予定よりやや遅れることとなった。
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今後の研究の推進方策 |
まず、リニアモーターの上下動をコントロールするプログラムを作り、周期的に自由落下運動をさせる。次にセンサー部をリニアモーターに取り付けセンサー部を周期的に自由落下運動をさせ、金属球の間隔をシャドーセンサーで測定しデータを取得する。これをマッチドフィルターを用いて解析を行い重力波に対する感度曲線を求めるとともに観測を行い、低周波における重力波の上限値を出す。
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次年度の研究費の使用計画 |
データ取得システム用のアンチエリアシングフィルターを購入する。また、学会での成果発表のための旅費に充当する。
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